home>祈り>アレオパゴスの祈り>2015年 7月

アレオパゴスの祈り

バックナンバー

アレオパゴスの祈り 2015年 7月 4日


花束


父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

新しい月、7月が始まりました。夏の訪れとともに、夏休みに出かける計画を立てていらっしゃる方も多いことでしょう。普段の生活から離れ、海や山へ行き、自然のすばらしさをたたえるときでもあります。

教皇フランシスコは、6月18日に『ラウダート・シ』(‘Laudato Si’)という回勅を発表されました。「ラウダート・シ」とは、アッシジの聖フランシスコの「太陽の賛歌」の中のことば、「ラウダート・シ、ミ・シニョーレ」から取られたもので、「わたしの主よ、あなたはたたえられますように」という意味です。聖フランシスコはこの歌の中で、太陽や月、星、風、水、大地など、神が創られたすべてのものを通して、神を賛美しています。教皇はこの回勅を通して、人類の共通の家である地球の叫び声に耳を傾け、大切にすること、責任をもってその自然の美しさを守るために、普段の生活を見直し、方向性を変えていくよう、回心を呼びかけておられます。日本語にはまだ訳されていませんが、その内容をご紹介しながら、ともに祈ってまいりましょう。

この祈りのとき、わたしたちが心を開くことによって、聖霊がわたしたちを導いてくださいますように、願って歌いましょう。

『平和を祈ろう』No.93「こころのとびらを」

聖書の中の最初の書物である創世記は、紀元前6~5世紀に書かれたと言われています。冒頭には天地万物の由来が記され、神がすべてのものの造り主であることが語られています。その部分を聞きましょう。

創世記 1.1~31、2.1~4a

① 光と闇の創造(創世記1.1~5)
初めに、神は天地を創造された。
地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。
神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。
神は光を見て、良しとされた。
神は光と闇を分け、光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。

函館の海


② 空の創造(創世記1.6~8)
神は言われた。「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」
神は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。 神は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。

③ 水、海、草、果樹の創造(創世記1.9~13)
神は言われた。「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。」そのようになった。
神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた。
神は言われた。「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」そのようになった。
地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。神はこれを見て、良しとされた。 夕べがあり、朝があった。第三の日である。

ブドウ


④ 太陽、星の創造(創世記1.14~19)
神は言われた。「天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。 天の大空に光る物があって、地を照らせ。」そのようになった。
神は二つの大きな光る物と星を造り、大きな方に昼を治めさせ、小さな方に夜を治めさせられた。 神はそれらを天の大空に置いて、地を照らさせ、 昼と夜を治めさせ、光と闇を分けさせられた。神はこれを見て、良しとされた。
夕べがあり、朝があった。第四の日である。

⑤ 鳥、魚の創造(創世記1. 20~23)
神は言われた。「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面を飛べ。」
神は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。神はこれを見て、良しとされた。
神はそれらのものを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ。」夕べがあり、朝があった。第五の日である。

⑥ 家畜、這うもの、獣の創造(創世記1.24~25)
神は言われた。「地は、それぞれの生き物を産み出せ。家畜、這うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ。」そのようになった。 神はそれぞれの地の獣、それぞれの家畜、それぞれの土を這うものを造られた。神はこれを見て、良しとされた。

⑦ 人間の創造(創世記1.26~28、30~31)
神は言われた。「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう。」
神は御自分にかたどって人を創造された。神にかたどって創造された。男と女に創造された。
神は彼らを祝福して言われた。「見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。
地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草を食べさせよう。」そのようになった。 神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である。

アダムとエバ
モザイ:Fr.ルプニク


⑧ 万物の完成と神の安息(創世記2.1~4a参照)
天地万物は完成された。 第七の日に、神は御自分の仕事を完成された。
この日に神はすべての創造の仕事を離れ、安息なさったので、第七の日を神は祝福し、聖別された。 これが天地創造の由来である。

わたしたちは、他の生物とともに、光、空気、水を必要とし、それらを通して生きています。そのことを思い起こしながら、しばらく沈黙のうちに祈りましょう。

(沈黙)

わたしたちに与えられた自然の恵みに感謝しましょう。また、心に抱いている意向、祈りを必要としている人々を神にゆだねて、ローソクをささげましょう。

『平和を祈ろう』No.92、「うたえ 主のみ名を」① ③

バチカンはこの新しい回勅の内容をまとめ、6分ほどのビデオを製作しました。ご紹介します。

タイトル:「ラウダート・シ」人類共通の家である地球へ、教皇フランシスコの思い (ビデオ約6分)

わたしたちは、成長している子どもたち、後に続く世代に、どのような世界を残したいと望んでいるでしょうか。 誠実に現実を見つめるならば、わたしたちの共通の家である地球が深刻な荒廃に陥ろうとしていることは、明らかです。 この問題は、使い捨ての文化と密接に関係しています。 特に切実な問題なのは、貧しい人たちの飲料水の質が低下していることです。 気候は、実に人類が共有している善いものであり、すべての人に関係し、すべてに影響を及ぼします。 キリスト者は信仰による確信から、自然環境に配慮し、もっと弱い兄弟姉妹たちのことを心にかけるという高い志を持つよう、招かれています。 特に、わたしたち人類の中で存在している、巨大で、さまざまな不平等という現実に怒らなければなりません。 包括的なエコロジーの点から、わたしたちは生活のスタイル、理想について、時間をかけてもう一度考えるよう求められています。 歌いながら、歩みを続けましょう! この地球に対する、わたしたちの戦いと心配が、希望と喜びをわたしたちから奪うことがありませんように。

教皇様の呼びかけを心に留めながら、しばらく沈黙のうちに祈りましょう。

(沈黙)

父である神は、わたしたちに命を与え、また洗礼によって神の子となる恵みを与えてくださいました。そのことを感謝して祈りましょう。

『パウロ家族の祈り』p.314

   限りない、いつくしみの神、あなたは賛美されますように。
   あなたは人に自然のいのちのほかに、超自然のいのちを注がれました。
   あなたは人をご自分の子とし、ご自分の幸いに招き、
   いつくしみの愛で満たしてくださいました。
   あなたの偉大な恵みの尊さを知ることができるよう、
   わたしを照らしてください。

   天のいと高きところには神に栄光、善意の人びとに平和。
   道・真理・生命である師イエス、わたしたちをあわれんでください。
   使徒の女王聖マリア、わたしたちのために祈ってください。

マリア像
函館・宮前町教会のマリア像


聖パウロ女子修道会の初代総長、シスターテクラ・メルロは、自然をとても愛する人でした。彼女は総長として、さまざまな国と地域の共同体を訪問する際、その地域に広がる神のみわざである自然、そこに住む人々の善良さに目を向け、心に感じたこと、感動をシスターたちと語り合いました。ごく自然に神に向かい、それがときには一つの歌となっていくのでした。特に、詩編148の歓喜にあふれた賛美を愛しました。「天において主を賛美せよ。高い天で主を賛美せよ……日よ、月よ、主を賛美せよ。輝く星よ、主を賛美せよ……。」
      (ドメニコ・アガッソ著 大瀧玲子訳、『新しい世紀に福音を』

(沈黙)

教皇フランシスコは、回勅の中で、次のように述べています。「相対主義の文化は、他者を利用したり、他者を人ではなく物として扱うようにさせます。(No.123)」また、「必要もなく動物を苦しませたり、殺したりするのは、人間の尊厳に反します」(No.130)。

わたしたちが、被造物すべてに与えられているいのちに感謝し、一人ひとりができることを通して、自然を守る生き方を選ぶことができますように、御父に向かって祈りましょう。

主の祈り、アヴェ・マリアの祈り、栄唱

この祈りの時間にいただいた恵みを沈黙のうちに感謝しましょう。

(沈黙)

祈りましょう。
いつくしみ深い父である神よ、あなたは、命あるすべてのものを養い、恵みによってわたしたちを生かしてくださいます。人間が自分たちの利益だけを求めて歩んできたことによって、わたしたちの家である地球の環境が、おびやかされています。命あるすべての被造物を尊重し、大切にする心をわたしたちにお与えください。子どもたちに美しい地球を残すために、自然を守るために行動することができますように。わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。 父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

これで今晩の「アレオパゴスの祈り」を終わります。



「アレオパゴスの祈り 年間スケジュールと祈りの紹介」に戻る

▲ページのトップへ