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アレオパゴスの祈り

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アレオパゴスの祈り 2016年 7月 2日


 蓮


7月を迎えました。カトリック教会では、7月26日~31日まで、信仰を持つ世界の青年たちが集い、出会いと喜びを体験する「ワールドユースデー」がポーランドのクラクフで行われます。今年のワールドユースデーのテーマは、「あわれみ深い人々は、幸いである、その人たちはあわれみを受ける」(マタイ5.7)です。この集いは、若者たちのためだけではなく、教会、社会の大人たちが若者たちを大切にし、将来を担う彼らに信頼と希望を置くよう、わたしたちを招くものでもあります。

また7月10日は、日本では参議院議員選挙が行われます。今回の選挙の最大の争点は、憲法改正と言われています。今回から、選挙権のある人が18歳以上に引き下げられ、約240万人の若者たちも有権者となりました。 世界でも日本でも、多くの国で問題があり、若い人々にとっては生きづらい社会となっています。いのちと平和が守られ、子どもたちや若い人々が希望を持って生きることができる社会となりますように、今日のわたしたちの祈りをささげましょう。

わたしたち一人ひとりが心に抱いている意向、祈りを必要としている人々を父である神の御手にゆだねて、しばらく思い起こしましょう。

ここに集まったわたしたちが、この祈りの時間をよく過ごすことができますように聖霊の恵みを求めて、歌いましょう。

集まったわたしたちが、この祈りの時間をよく過ごすことができますように主の恵みを求めて、歌いましょう。

『神をたたえ』No.4、「聞かせてください」 ②

ルカによる福音書のことばに耳を傾けましょう。(ルカ 15.1~7)

徴税人や罪人が皆、話を聞こうとしてイエスに近寄って来た。すると、ファリサイ派の人々や律法学者たちは、「この人は罪人たちを迎えて、食事まで一緒にしている」と不平を言いだした。そこで、イエスは次のたとえを話された。「あなたがたの中に、百匹の羊を持っている人がいて、その一匹を見失ったとすれば、九十九匹を野原に残して、見失った一匹を見つけ出すまで捜し回らないだろうか。 そして、見つけたら、喜んでその羊を担いで、家に帰り、友達や近所の人々を呼び集めて、『見失った羊を見つけたので、一緒に喜んでください』と言うであろう。言っておくが、このように、悔い改める一人の罪人については、悔い改める必要のない九十九人の正しい人についてよりも大きな喜びが天にある。」

 黄色い花


教皇フランシスコが、今年の世界青年の日に発表されたメッセージを聞きましょう。
2016年ワールドユースデークラクフ大会は、いつくしみの聖年と結びついており、世界規模で行われる真の「若者の聖年」となるでしょう。この特別聖年のモットーは「御父のようにいつくしみ深い者となること」です(教皇フランシスコ大勅書『イエス・キリスト、父のいつくしのみ顔』13参照)。このモットーは今回のワールドユースデーのテーマとよく調和しています。
旧約聖書は、いつくしみについて語るためにさまざまなことばを用いています。神はご自分が絶えず愛し、ゆるしておられる民との契約を、常に忠実に守る方です。また、神は、母が自分の子を愛するように、ご自分の民を愛しておられます。このような愛により、人は自分自身の中に他の人のための場所をもうけ、隣人に共感し、共に苦しみ、喜ぶようになります。
新約聖書は、イエスが御父の名のもとにこの世で成し遂げるために来られたわざを統合するものとして、神のいつくしみを語っています(マタイ9.13参照)。主のいつくしみは、神が人間の苦悩に向けて身をかがめ、理解やいやし、ゆるしを必要としている人々をあわれんでくださるときに、とりわけ表れます。イエスのすべてが、いつくしみを伝えています。イエスご自身がまさに、いつくしみです。
ルカによる福音書15章には、いつくしみに関する三つのたとえ話があります。見失った羊のたとえ、なくした銀貨のたとえ、そして放蕩息子のたとえです。この三つのたとえ話では、神の喜び、すなわち神が罪人を見つけ、その人をゆるすときに抱く喜びに心を打たれます。そうです。ゆるすことが神の喜びです。福音全体はこのようにまとめられます。「わたしたちは皆、見失った羊であり、なくした銀貨です。わたしたちは皆、偽りの偶像と幸福の幻想を追って自らの自由を浪費し、すべてを失った、あの放蕩息子です。しかし神はわたしたちを忘れません。御父は決してわたしたちを見捨てません。神は忍耐強い父であり、常にわたしたちを待っていてくださいます。神はわたしたちの自由を尊重しますが、常に忠実であり続けます。そして、わたしたちが立ち帰るなら、子どもとしてご自分の家に迎え入れてくださいます。神は愛を持ってわたしたちを待つことを片時もやめないからです。神の心は、子どもが立ち帰るとき、いつも喜び祝います。神が喜び祝うのは、それが喜ばしいことだからです。わたしたち罪びとの一人が立ち帰って、ゆるしを願うとき、神は喜ぶのです」。
       (「お告げの祈りでのことば」2013年9月15日)。

教皇様のメッセージの中で、心に残ったことを思いめぐらしながら、しばらく沈黙のうちに祈りましょう。

(沈黙)

父である神が、すべての人を愛してくださっているという良き知らせ、福音をわたしたちに伝えてくださったことを感謝して祈りましょう。
『パウロ家族の祈り』p.207、①
  師イエス、
  偉大な賜物、福音を与えてくださった寛大なみ心に、感謝と賛美をささげます。
  「貧しい人に福音を告げるためにわたしは遣わされた」とあなたは言われました。
  あなたのことばは、永遠のいのちをもたらします。
  福音をとおして、神の神秘をあかし、真理に基づいて神の道を教え、
  救いの手段を与えてくださいます。
  福音を敬い、それに耳を傾け、教会の精神に従ってそれを読み、
  宣教におけるあなたの愛で福音を普及する恵みを、わたしたちに与えてください。
  すべての人が福音を知り、尊重し、受け入れますように。
  世界が、生活、法律、慣習、思想を、福音に合わせていきますように。
  地上にもたらされた愛の火が、
  すべての人の心にともされ、かれらを照らし、温めますように。
  イエスのみ心、いっそう深くあなたを愛することができますように。

同じメッセージの中で、教皇様は、「神のいつくしみの道具であることの大きな喜び」について、次のようにおっしゃっています。
今年のワールドユースデーのテーマである、真福八端の第五の幸いは、あわれみ深い人は幸いであると宣言しています。わたしたちは、主が最初に自分たちを愛してくださったことを知っています。しかしわたしたちは、たまもの、無償の愛という神の「論理」に従ってはじめて本当に幸せになります。神がわたしたちを無限に愛してくださり、わたしたちをご自分と同じように、はかることなく愛せるようにしてくださったことに気づいてはじめて、わたしたちは幸せになるのです。
若者の皆さんに、身体的、精神的な慈善のわざをささげてくださるよう、提案したいと思います。おそらく最も行うことが困難ないつくしみのわざは、自分を傷つけた人、自分に悪事を働く人、敵と思われる人をゆるすことです。「ゆるせないと思うことが幾度もあることでしょう。けれどもゆるしとは、心の平安を得るために、わたしたちの弱い手に与えられた道具なのです。恨み、怒り、暴力、復讐を手放すことが、幸せに生きるための必要条件です」(『イエス・キリスト、父のいつくしみのみ顔』9)。
わたしは、この世界にうんざりしていると語る、大勢の若者に会いました。この世界は、さまざまな勢力を支持する人々の間の衝突や、多くの紛争によって分裂し、中には暴力の正当化のために宗教が利用されるケースすら、あるからです。わたしたちは、自分に何か悪いことをする人にいつくしみ深くなる恵みを与えてくださるよう、主に願わなければなりません。イエスは、ご自分を十字架につけた人々のために十字架上で祈りました。「父よ、彼らをおゆるしください。自分が何をしているのか知らないのです」(ルカ23.34)。いつくしみは、悪を打ち負かす唯一の方法です。正義ももちろん不可欠ですが、それだけでは十分ではありません。正義といつくしみが共に歩まなければなりません。わたしたち皆が、心から祈りをささげるために一つになって声を合わせ、自分たちと全世界をいつくしんでくださるよう主に願い求めることができたら、どんなに素晴らしいでしょう。

しばらく沈黙のうちに、祈りましょう。

(沈黙)

 WYD


ワールドユースデーに参加する方たち、また社会の中で、さまざまな問題、矛盾に直面し、道を見失っていると感じている若者たちのために、心を合わせて祈りましょう。「ワールドユースデーの祈り」をご一緒に唱えましょう。
  いつくしみ深い父なる神よ、
  あなたは、御子イエス・キリストのうちにお示しになった愛を、
  弁護者である聖霊によってわたしたちに豊かに注いでくださいました。
  世界とすべての人の未来を今日、あなたにゆだねます。
  とくに、あらゆる言語、民族、国の若者をあなたにゆだねます。
  今日(こんにち)の複雑な社会を歩む若者たちを守り導き、
  クラクフでのワールドユースデーの経験が豊かな実を結ぶよう恵みをお与えください。
  天におられる父よ、
  わたしたちが、あなたのいつくしみの証し人となれるようにしてください。
  疑いのあるところに信仰を、失望している人に希望を、
  無関心に陥っている人に愛を、過ちを犯した人にゆるしを、
  不幸せな人に喜びを伝える術(すべ)を教えてください。
  あなたがわたしたちのうちにともしてくださった
  いつくしみ深い愛の灯(ともしび)が、
  多くの心を回心へと導き、地の表を新たにする炎となりますように。

『神をたたえ』No.8「主は水辺に立った」 ① ② ④

祈りましょう。
いつくしみ深い神よ、あなたは尊いおとめマリアの心を聖霊が宿るふさわしい住まいとして、準備なさいました。聖母の取り次ぎによって、あなたを信じるわたしたちがあなたの栄光を現す生きた神殿となりますように。
わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

父と子と聖霊のみ名によって。アーメン。

これで今晩の「アレオパゴスの祈り」を終わります。



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