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人物でたどる礼拝の歴史

『人物でたどる礼拝の歴史』表紙

  • 編者:江藤直純・宮越俊光
  • 定価:本体3,000円+税
  • A5判 並製  264ページ
  • ISBN978-4-8184-0721-3  C0016
  • 発行:日本キリスト教団出版局

人は、使徒の時代から現代に至るまで、神にさまざまな形で祈りをささげてきました。それは時と場所によって変化し、教会の中で培われてきました。

本書は、日本キリスト教団出版局から発行されている、季刊誌「礼拝と音楽」において、2002年春から24回にわたって連載されたものに、2つの論文を加え、さらに内容を充実させて出版されたものです。初代教会、中世、宗教改革、キリシタン時代、近・現代という流れの中で、どのような礼拝がささげられてきたか、それぞれの時代、場所で活躍した宗教家を中心に紹介しています。また、一つの教派に限らず、カトリック、プロテスタント、聖公会、正教会と幅広く取り上げ、礼拝を中心とした教会の歴史をダイナミックに描いています。

海外だけではなく、日本の安土・桃山時代に焦点を当てた、「15 キリシタン時代の心の交流」では、上智大学の川村信三師がアレッサンドロ・ヴァリニャーノとルイス・セルケイラの活躍を述べています。

そのころ日本では、朝鮮半島から伝わった金属板印刷を用いていましたが、、ヴァリニャーノはグーテンベルグの活版印刷を導入しました。これによって、聖人伝や、有名な『どちりなきりしたん』などが出版されていきます。また天正遣欧使節では4人の少年を派遣し、ルネッサンスの修辞学や音楽など、ヨーロッパの文化を日本にもたらしました。

セルケイラは、秘跡について述べた『サカラメンタ提要』という本を出版しました。準秘跡である「葬儀」と「埋葬の儀」については、式の中で歌われるグレゴリオ聖歌が記されています。当時の日本社会で、死体に触れることは「穢れ(けがれ)」とされていました。しかしキリシタンたちは、「行き倒れの死者を葬る」という社会のタブーを「慈善のわざ」として引き受け、キリストを証ししていました。

その他、カール大帝、ルター、カルヴァンをはじめ、現代においてはテゼ共同体で創始者ブラザー・ロジェとともに活躍したマックス・トゥリアンなども紹介しています。

多くの先人たちの「神を賛美する心」によって、教会の礼拝が形成されてきたことがわかります。わたしたちの祈りも、彼らの築いてきた道の上にあるのでしょう。

祈りについて、また教会の歴史に興味のある方に、ぜひお薦めしたい1冊です。

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