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教会カレンダー

A年 主の変容

第1朗読 ダニエル書 7章9~10、13~14節

第2朗読 ペトロの手紙二 1章16~19節

福音朗読 マタイによる福音書 17章1~9節

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今日祝う主の変容の祝日は、5世紀ごろから東方教会において祝われていました。主の変容は、受難の40日前に起こったと伝えられてきました。そのため、9月14日の「十字架称賛」の祝日の40日前の今日、祝うようになりました。

そして、教皇カリスト3世(1455~1458年在位)により、1457年に 教会カレンダーに加えられました。

典礼では、変容の出来事を、すでに四旬節第2主日に私たちに思い起こさせています。

主の変容は、十字架のつまずきに耐えられるように、弟子たちの心を準備することが目的にありました。同時に、すべてのキリスト者を神の子とし、キリストと共に神の国を継ぐ者とする、父である神とのすばらしい関係をも伝えています。

主の変容の話は、私たちの心を 神の世界に向けさせます。地上での出来事 ― 喜び、苦しみ、悲しみ…… ― を復活の栄光の光のもとに見るように招き、そのもとにしっかりと現実を引き受けるように招きます。

弟子たちは この変容の出来事を体験した後、イエスと共に山を降り、世の中に入って行きます。

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第1朗読で読まれるのは、ダニエル書です。
 主人公ダニエルはバビロンに連れて行かれました。ダニエル書は、おもしろいことに、この主人公ダニエルの時代の数世紀後に、書かれたと言われています。

ダニエル書では、バビロニア ― ペルシア時代のダニエルの信仰の戦いと、預言書の著者の時代とをオーバーラップさせ、後半では自分たちの時代を ダニエルに預言させることにより、
  (1)神は忠実な信仰者を決して見捨てない
  (2)神は必要な知恵と洞察力とを与えてくださる
  (3)これらを信頼してどのような困難な時にも最後の勝利を信じ、戦うように、
と訴えています。今日読まれる読書は(2)の中に入っています。

ダニエルは、来るべき「人の子」の栄光の姿を預言しています。

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今日は、ダニエル書の代わりに ペトロの手紙IIを選択することも可能です。

ペトロの手紙IIの著者は、キリストの栄光と来臨について語っています。

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第1、第2朗読は ABC年共通ですが、福音書は、毎年異なり、今年A年は マタイによる福音書が読まれます。

「イエスの姿が変わる」ご変容の記事は、共観福音書すべてに記されています。マタイ福音書17章1~9節、マルコ福音書9章2~10節、ルカ福音書9章28~36節です。
 これらを比較しながら読んでみると、各福音記者のポイントが見えてきます。

今年読まれるマタイのポイントは、なんなのでしょうか。

主の変容の記事は、
  (1)イエスが栄光の姿に変容したこと
  (2)モーセとエリヤの出現
  (3)天からの声
という3つの出来事が描かれています。

モーセとエリヤは、旧約の中で、律法と預言者の代表者です。この2人と語り合うイエスは、律法と預言を成就する方です。

「山」も、聖書にたびたび登場するシンボルで、「山」と聞くと当時の人々はシナイ山を思い起こし、神の顕現の場と理解していました。モーセとエリヤも、山で神の顕現を目撃しました。

マタイは、他の福音史家と違って「主よ」と呼びかけます。主、キュリオスとは、通常復活された方への敬称です。

天からの声、輝く雲によって、この物語はクライマックスに達します。天からの声は、イエスが洗礼を受けられたときと同じですが、その後に「彼に聞きなさい」との句が付け加えられています。

「彼に聞きなさい」と言えば、マタイが福音書を書いた対象の人々は、預言者を立てる約束をされた時に言われた「あなたの神、主はあなたの中から、あなたの同胞の中から、わたしのような預言者を立てられる。あなたたちは 彼に聞き従わねばならない」(申命記 18.15)を受け取っていたのです。

これが、この物語の主眼点です。

主の受難の物語の前に位置づけている マタイにとって、主の変容の出来事は、3人の弟子に復活のキリストを預言させ、信仰を強め、希望をあたえるものとなったのです。

この主の変容は、現代の私たちにとって、なにを語るのでしょうか。

弟子たちは、この変容の出来事を体験した後、山から降りました。

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今日は、広島原爆投下の日です。教会では、今日から15日までの10日間を「日本カトリック平和旬間」と定めています。

今年、被爆75周年にあたり、広島、長崎の方々に書いていただいた単行本『原子野からの旅立ち』をご紹介いたします。
 ぜひ、お読みいただいて、多くの方々にご紹介ください。

祈り

 聖なる父よ、
  御子キリストは栄光の姿のうちに現れ、
  聖書のことばを通して、弟子たちに救いの神秘を説き、
  神の子どもとなるすばらしさを示されました。
  御ひとり子の声に従うわたしたちが、
  キリストとともにあなたの国を継ぐものとなりますように。
   集会祈願より

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第1朗読 ダニエル書 7章9~10、13~14節

なお見ていると、王座が据えられ、
「日の老いたる者」がそこに座した。

その衣は雪のように白く、
その白髪は清らかな羊の毛のようであった。

その王座は燃える炎、その車輪は燃える火、
その前から火の川が流れ出ていた。

幾千人が御前に仕え、幾万人が御前に立った。
裁き主は席に着き、巻物が繰り広げられた。

夜の幻をなお見ていると、見よ、
「人の子」のような者が天の雲に乗り、
「日の老いたる者」の前に来て、そのもとに進み
権威、威光、王権を受けた。

諸国、諸族、諸言語の民は皆、彼に仕え、
彼の支配はとこしえに続き、
その統治は滅びることがない。

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第2朗読 ペトロの手紙二 1章16~19節

わたしたちの主イエス・キリストの力に満ちた来臨を知らせるのに、
わたしたちは巧みな作り話を用いたわけではありません。

わたしたちは、キリストの威光を目撃したのです。

荘厳な栄光の中から、
「これはわたしの愛する子。わたしの心に適う者」
というような声があって、
主イエスは父である神から誉れと栄光をお受けになりました。

わたしたちは、聖なる山にイエスといたとき、
天から響いてきたこの声を聞いたのです。

こうして、わたしたちには、預言の言葉はいっそう
確かなものとなっています。

夜が明け、明けの明星があなたがたの心の中に昇るときまで、
暗い所に輝くともし火として、
どうかこの預言の言葉に留意していてください。

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福音朗読 マタイによる福音書 17章1~9節

六日の後、イエスは、ペトロ、それにヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて、
高い山に登られた。

イエスの姿が彼らの目の前で変わり、
顔は太陽のように輝き、服は光のように白くなった。

見ると、モーセとエリヤが現れ、イエスと語り合っていた。

ペトロが口をはさんでイエスに言った。
「主よ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。
お望みでしたら、わたしがここに仮小屋を三つ建てましょう。
一つはあなたのため、一つはモーセのため、もう一つはエリヤのためです。」

ペトロがこう話しているうちに、光り輝く雲が彼らを覆った。
すると、「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者。これに聞け」
という声が雲の中から聞こえた。

弟子たちはこれを聞いてひれ伏し、非常に恐れた。

イエスは近づき、彼らに手を触れて言われた。
「起きなさい。恐れることはない。」

彼らが顔を上げて見ると、イエスのほかにはだれもいなかった。

一同が山を下りるとき、
イエスは、「人の子が死者の中から復活するまで、
今見たことをだれにも話してはならない」と弟子たちに命じられた。

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