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第84回 エウカリスチアの制定


前回は、エウカリスチアの秘跡で用いるパンとぶどう酒についてお話しいたしました。そこで、今回は、エウカリスチアの秘跡の制定に焦点を当てて、お話しいたしましょう。


エウカリスチアの制定

エウカリスチアの秘跡は、最後の晩餐において制定されました。イエス・キリストは、この世から御父のもとに移る時がきたことを知り、弟子たちを極みまで愛されました。この世での最後の食事を共にする間、弟子たちの足を洗い、愛の掟を授けられたのでした。

イエスは弟子たちに、この愛の保証を与え、ご自分の死と復活の記念として、エウカリスチアを制定されました。そして同時に、使徒たちが、この新しい契約の祭司として、キリストが再臨なさる日までエウカリスチアを続けるように命じられたのです。

このエウカリスチアの制定については、聖書のマタイ、マルコ、ルカ福音書と、聖パウロがコリントの教会の信徒への手紙の中に書かれています。ヨハネ福音書には、イエスがご自分を「天からくだったいのちのパンである」ということを話され、エウカリスチア制定の予告をなさっておられる箇所が描かれています。

イエスがエウカリスチアを制定なさったのは、イスラエルの民がエジプト脱出を記念して行う過越の食事の時でした。イエスはご自分の死と復活を通して、御父のもとに帰られるという新しい過越を、最後の晩餐において先取りされ、感謝の祭儀で祝われました。

この祭儀はユダヤ人の行う過越祭の完成であり、天のみ国の栄光に過越しをする教会の姿を先取りしているものです。こうして、キリストはユダヤ人の行う過越祭に決定的な意味を与えられたのです。


「これを、わたしの記念として行いなさい」

イエスは最後の晩餐において、この言葉を使徒たちに残されました。 このイエスのご命令は、使徒とその後継者たちが、キリストのこの地上でのご生涯、その死と復活、そして天の御父のもとで、私たちのために執り成してくださったこと、今も執り成し続けてくださっていることを記念して、典礼を行うことを意味しているのです。

キリストがご昇天なさった後の教会の姿を伝えている「使徒言行録」には、その初めから、教会が忠実にこのキリストのご命令に従っていたことが書かれています。特に、使徒言行録の2章42節~46節をご覧ください。

現在、私たちキリスト者の教会生活の中心は、なんといっても日曜日ごとに行われる「エウカリスチア(感謝の祭儀)」です。これも、初代教会からの伝統で、キリスト者が「パンを裂くために」集まったのは、「週の初めの日」、すなわち日曜日でした。それは、主が復活なさったことを記念する日でした。こうして、神の民である私たちは、天のみ国への旅路を歩みながら、再び「主が来られる時」まで、エウカリスチアを行いながら、イエスの過越の神秘を告げ知らせているのです。

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