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第106回 救いの営みにおける叙階の秘跡

 
1 救いの営みにおける叙階の秘跡
 

旧約の祭司職

イエス・キリストが来られるまでの旧約時代、神は、イスラエルの民を選んで、「神の民」と呼ばれました。この民はヤコブの12人の子どもたちから分かれた12の部族によって形成されていました。

神はご自分の民とされた、これら12部族の1つレビ族のアロンの子孫だけが世襲制で祭司職の務めを託されました。そして、アロンの子孫以外のレビ族に族する人々は、祭司のもとにあって、いろいろな宗教的奉仕職を果たしていました。

旧約の祭司は、神と人との仲介者として、罪のための供え物やいけにえを捧げるために任命されたものでしたが、この任に就くにあたっては、特別な聖別式が行われていました。しかし、この祭司職には、人々に救いをもたらす力はありませんでした。ですから、毎日、神にいけにえをささげる必要があったのです。

決定的な救いの力、人々を聖化する力は、イエス・キリストの十字架上でのいけにえを待たなければなりませんでした。この旧約のアロンの祭司職とレビ族の務め、さらに、民の長老の中から選ばれた70人の「長老」の制度は、新約の叙階された役務者の前表とされています。

 

キリストの唯一の祭司職

以上の旧約の祭司職の前表は、すべてイエス・キリストのうちに実現されました。キリストは、「神と人との唯一の仲介者」であり、「メルキセデクと同じような大祭司」、「聖であり、罪なく、汚れなく」、十字架上でご自分を奉献するという「唯一の捧げもの」によって、「聖なる者とされた人々を、永遠に完全な者」となさったのです。

キリストのあがないのいけにえは、ただ一度で成就された唯一のものです。しかし、教会のエウカリスチアのいけにえにおいて、それは、現在化されます。

キリストの祭司職も唯一です。これは、叙階の秘跡を受けた司祭たちによって、現在化されているのですが、そのことによって、キリストの祭司職が損なわれることはありません。キリストだけが真の祭司であり、叙階の秘跡を受けた司祭たちは、キリストの奉仕者にすぎないのです。

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