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第164回 新しい法、または福音の法 –(1)


4 新しい法、または福音の法 –(1)

前回までは、道徳法についてお話いたしました。その中で、道徳法には、自然法と旧約の律法と、福音の法とがあります、と申し上げました。いよいよ、今回から新しい法とも「福音の法」とも呼ばれている法についてご一緒に学んでまいりましょう。

この新しい法は、自然な形で与えられた神法(これについては、自然法のことを思い出してください)や、啓示された形で与えられた神法(これについては、旧約の律法のことを思い出してください)の、この世における完成した形の法です。

この新しい法・福音の法は、キリストがその教えと行いで私たちに教えてくださったものです。その中でも特に、皆さんがよくご存じの、マタイによる福音書の5章~7章の「山上の説教」と呼ばれている福音の中で明らかにされています。

同時に、この法は、聖霊のわざでもあり、聖霊によって心の中の愛の法とされるのです。というのは、言い換えれば、この新しい法は、キリストへの信仰によって信者に与えられた聖霊の恵みと言るものです。

この法は特に、愛の実践を伴うものです。具体的にどんな愛の実践をすればよいのか、ということを、イエスは「山上の説教」で教えてくださり、ただ教えるだけではなく、それを実行できるように、秘跡をとおして恵みを与えてくださっているのです。このことは、私たちが日々の信仰生活をとおして、実感していることですね。

福音の法は、旧約の律法を完成させ、磨き上げ、超越させ、完全なものにします。どのように完全なものにしているのかと言えば、旧約時代から人間に示されていた神の約束を、山上の説教の中でも「幸いなるかな……」という言葉で始まる有名な8つの幸い(これを「真福八端」と言います)を教えることによって高め、「天の国」に方向づけることによって完成させているのです。

福音の法は、信仰をもってこの新しい希望を受け入れたいと願う貧しい人々、謙虚な人々、苦しむ人々、心の清い人々、キリストのために迫害される人々に向けられています。このように、福音の法は、神の国の意表をつく道を示すものです。

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