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 めぐりあう時間たち

2003年5月

The Hours

めぐりあう時間たち

  • 監督:スティーヴン・ダルドリー
  •   
  • 脚本:デイヴィッド・ヘア
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  • 原作:マイケル・カニンガム
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  • 出演:ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、
         メリル・ストリープ、エド・ハリス
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  • 音楽:フィリップ・グラス

2002年 アメリカ映画 1時間55分

  • 2003年度75回アカデミー賞主要9部門ノミネート、最優秀主演女優賞受賞
  • 2003年第53回ベルリン国際映画祭 最優秀女優賞受賞
  • 2003年第60ゴールデン・グローブ賞 作品賞、主演女優賞受賞
  • 2003年第55回イギリス・アカデミー賞 主演女優賞、音楽賞受賞
  • 他、受賞多数

この映画は、「リトル・ダンサー」で多くの人々を引きつけたスティーヴン・ダルドリー監督の、長編映画2本目の作品です。

すでに、新聞や雑誌で、たくさん紹介されていますので、お読みになった方もいらっしゃることと思います。とにかく、すごい映画です。その「すごさ」にふさわしく、たくさんの賞を受賞しました。

映画がはじまってすぐ、ニコール・キッドマンの役作りに驚いてしまいました。これだけでも「すごい映画だ!」と感じたのですが、さらに、2人目のジュリアン・ムーアも、ズーッと緊迫感を維持し続け「すごい!」と思いました。試写会で見たのが、アカデミー賞受賞発表の前だったので、ぜひ、このすばらしい演技のニコール・キッドマンに主演女優賞をあげてください……と願っていたら、見事、ニコール・キッドマンが受賞しました。うれしかったです。

この映画は、すべての女性に見てほしい作品です。また、男性にも見ていただいて、女性のこういう部分を理解してほしいと思います。「私は自分を生きている」と心の底から言える場を探し続ける女性たちの物語です。

物語

3つの時代に、3人の女性が登場します。

1923年、イギリス、ロンドン郊外のリッチモンド。作家バージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)は、精神的な病気の療養のため、緑豊かなこの町に、夫のレナードと共に引っ越してきた。レナードは、バージニアのことを第一に思っている。彼女の才能を認め、作品を世に出すために自ら本の印刷もしている。バージニアは今、「ミセス・ダロウェイ」を執筆中である。今日は、バージニアの姉が、子どもたちを連れてやってくる日だ。

めぐりあう時間たち

1951年、ロサンジェルス。閑静な住宅街に住むローラ(ジュリアン・ムーア)は、ベッドの上で、愛読書『ダロウェイ夫人』を手にしている。夫のダンは、子どもの面倒をよく見てくれるやさしい夫だ。今日は、夫の誕生日。何事もないかのように優しく夫を送り出す。今夜のお祝いのためケーキ作りにとりかからなくてはいけないのだが、ある事が頭から離れない。朝食を食べている息子は、母親がいつもと違うことを感じ取り、心配そうにローラの顔を見つめている。今、ローラは二人目の子どもをお腹にかかえている。

2001年、ニューヨーク。編集者クラリッサ(メリル・ストリープ)は、友人である作家のリチャード(エド・ハリス)の受賞祝賀パーティーのために、忙しく準備をはじめている。リチャードはクラリッサを「ダロウェイ夫人」と呼んでいる。

 

1映画は、3人の女性の朝の出来事を、同時進行で描いていきます。夫や友人の愛に囲まれていても、3人の女性たちは、真に生きていない……と感じています。そして「自分を生きたい」ともがいています。何かをしようと試みましたが断念し、さらに悩み続けています。夫をはじめ、彼女たちを愛している人々のやさしさを知っているからです。しかし、そのやさしさの中にいたら、自分が窒息してしまうことも知っています。そして、ある日……。

1回見ただけでは、味わい切れない深さを持った作品です。何回も見て、「自分を生きる」とはどういうことなのかを考えたいと思いました。

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