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 暗殺・リトビネンコ事件

2002年12月

REBELLION THE LITVINENKO CASE

暗殺・リトビネンコ事件

  • 監督:アンドレイ・ネクラーソフ
  •   
  • 音楽:イリーナ・ボグシェフスカヤ、
  •   
  • 出演:アレクサンドル《サーシャ》・リトビネンコ、
        マリーナ・リトビネンコ、
        アンナ・ポリトコフスカヤ、ボリス・ベレゾフスキー、
        アンドレイ・ルゴボイ、ミハイル・トレパシキン、
        ウラジーミル・プーチン
  •   
  • 配給:スローラーナー

2007年 ロシア映画 110分


「わたしの身に何かあったときは、このビデオを好評し、世界に伝えてほしい」こう言っていたルトビネンコ氏は、2006年11月23日、亡命先のイギリスで何者かによって毒殺されました。紅茶に混ぜられた放射能性物質ポロニウム210を飲まされたのです。アンドレイ・ネクラーソフ監督はイギリスに渡ったリトビネンコ氏を、5年前からインタビューし、その様子をフィルムに収めていました。戦争とリトビネンコ氏のようにして命を落とした方々に対する、ネクラーソフ監督の哀悼の思いを込めた作品です。

1998年、リトビネンコ氏は、FSBの同僚たちと記者会見の席に並び、上司から受けた命令が暗殺だったと公表しました。また、チェチェン戦争のきっかけとなったモスクワのアパート連続爆破事件についても調べていました。その後、リトビネンコ氏は何度も逮捕され、まだ小さい息子の命を守るために国外への脱出を決意したのです。

ネクラーソフ監督は、リトビネンコ氏の他にも、プーチン大統領とロシア政府を批判する人々へのインタビューをしています。その中に、リトビネンコ氏の死亡より少し前に暗殺された、ジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤがいます。アンナは、ロシアがチェチェンに対して行っている現実を正しく世界に伝えるために、命を懸けて記事にしてきました。政府への批判的態度を示す者は、閣僚であっても捕らえるというプーチン大統領のやり方は、世界に正しく報道されていません。

家族を愛し、友人を愛し、ロシアの人々を愛したリトビネンコ氏の、正義を求め、真理を探究する姿から、人間として失ってはいけないものを見せられた気がします。

ロンドンのアパートから散歩に出る親子3人。両親に囲まれてスキップする男の子のうれしそうな顔が忘れられません。もう、この光景は2度とやってきません。不当な出来事から命を奪われた多くの人々の永遠の安息を祈るとともに、ロシアに自由と愛、正義と人権が尊ばれる社会がやってくるよう祈ります


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