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 いま ここにある風景

2008年7月

Edward Burtynsky;Manufactured Landscapes

いま ここにある風景

  • 監督:ジェニファー・バイチウォル
  • 撮影監督・音響デザイン:ピーター・メトラー
  • 配給:カフェグルーヴ、ムヴィオラ

2006年 カナダ映画 87分

  • 2006トロント国際映画祭最優秀カナダ映画賞
  • 2006トロント映画批評家協会最優秀カナダ映画賞、
       最優秀ドキュメンタリー賞
  • 2007カナダ・アカデミー賞(ジェニー賞)最優秀ドキュメンタリー賞
  • 2007ナシュビル映画祭アル・ゴア「現代の映画賞」
  • 2007リバーラン国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞
  • 2007ビジョン・デュ・レール国際ドキュメンタリー映画祭ヤング審査員受賞
  • 2007サンダンス映画祭審査員賞ノミネート

カナダの国際的な写真家エドワード・バーティンスキーは、人類の発展によって変化していく世界各地の産業界を、広域写真で撮影し続けています。ドキュメンタリー映画「いま ここにある風景」は、エドワードの中国での撮影を追いながら、同じカナダのドキュメンタリー作家ジェニファー・バイチウォルが映像に収めたものです。エドワードたちの撮影の様子も映し出されています。

オリンピック開催に向け、大規模な開発が進められている巨大な中国。映像は、中国の底知れない大きさを、見る者につきつけてきます。日本国土の約25倍の広さを持つ中国。すべてのものが、日本では想像できないほど大規模なのです。

冒頭の工場の風景から圧巻です。広い工場を、カメラは天井から映し出していきます。延々と続く作業ライン。そこでラインの横で働く人々。工場の広さはどのくらいなのかわからないほど、作業ラインは延々と続きます。次々と中国のいろいろな場面が登場します。その中国が近代化に目覚め、急速に発展している様子と、その反面、犠牲となっている部分も巨大規模です。

カメラは造船所の大きな船を造る作業を追います。次には、人海戦術で大きな船の解体作業が映し出されます。家庭電気の組み立て工場を上から見た後、リサイクルで集まった家電のゴミを仕分ける人が映し出されます。長江にできる三峡ダム建設によって、電力不足への電力提供ができるようになりますが、多くの遺産が水の中に沈み、約110万人の人々がその土地を離れました。巨大化する上海の町も映し出されます。

いま ここにある風景 いま ここにある風景
浙江省 七里港の造船所 2005年 揚子江 三峡ダムプロジェクト 2002年

いま、長い間眠っていた獅子が起き始めました。目を見開いてしっかりと判断できるようになったとき、中国はどこへ向かっていくのかと考えてしまいます。これは同時に、地球に住む者の将来への憂いへとつながります。世界は発展しているのか、はたまた荒廃に向かっているのか。じっくりと現実を見つめ、考えるようにと見る者を招きます。

ことばによる説明は一切なく、音楽と効果音が現代世界の発展と荒廃を映し出していきます。音と映像が伝えるメッセージの力強さを感じます。今を生きるわたしたち一人ひとりに、大きな問題提起をしている印象に残るすばらしい作品です。

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