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 三本木農業高校、馬術部

2008年10月

三本木農業高校、馬術部

  • 監督:佐々部清
  • 原案:『私、コスモの目になる!』堀内美香著 主婦と生活社刊
  • 脚本:岡田茂、佐々部清
  • 音楽:押尾コータロー
  • 出演:長渕文音、柳葉敏郎、黒谷友香、松方弘樹、奥村知史、
        西原亜希、森田彩華、小林裕吉
  • 配給:東映

2008年 日本映画 117分

 

青森県立三本木農業高等学校馬術部。実在するこの農業高校に引き取られた盲目の馬と、この馬の世話を担当した女子高生とのふれあいと成長を描いた感動の物語です。

物語

農業高校に通う馬菊池香苗(長渕文音)は、馬術部の2年生。馬術部の活動は、馬に乗ったり競技をするだけでなく、朝早くから夜遅くまでの馬の世話があり重労働だった。そのせいか部員は少なく、香苗の他に、3年生の帆乃夏(西原亜希)、2年生の陽子(森田彩華)、賢治(奥村知史)、1年生の高橋(小林裕吉)の4名だけだった。

顧問の古賀先生(柳葉敏郎)は、香苗にタカラコスモ、通称コスモの世話をさせた。コスモは馬術競技の世界で名馬だったが、左目が病気になって引退し、古賀先生が東京の大学から三本木農業高校に引き取ったのだった。

三本木農業高校、馬術部

サラブレッドでプライドが高く気性も荒いコスモの世話に、香苗は手を焼いていた。馬場に引きだそうとしても、コスモは香苗の言うことをきかず、いらだつ香苗はコスモに罵声を浴びせていた。

コスモの目の病気が進んでいることに気づいた香苗は、コスモの苦しみを思うようになっていた。獣医の坂口先生(黒谷友香)から「馬は人間の信頼に応えようとする生きものだ」ということばをもらった香苗は、コスモに信じてもらえる存在になりたいと思った。

ある日コスモは種馬となるため、北海道に移送されて行った。1週間ほど留守になったコスモに、最初は気が楽になったと思っていた香苗だったが、次第にさびしくなり、コスモが心配になっていった。

三本木農業高校、馬術部

コスモはお腹に赤ちゃんを宿して帰ってきた。香苗は、母親となったコスモに優しくせっし、コスモとの距離が近づいていった。心をかたくなにしていたコスモは、ある日、香苗の呼びかけに耳を動かした。だれもできなかったことだった。香苗はコスモとしっかりと心を通わせていた。

辛い仔馬との別れのときも、香苗はコスモの支えとなった。そして、3年生となった香苗に、最後の馬術大会が近づいていた。香苗は、目が見えないコスモと一つになれるような気がした。

「私がコスモの目になります。」

香苗は、コスモとの出場を古賀先生に訴えた。

三本木農業高校、馬術部

 

 

目が見えなくなるという厳しい現実に対して、馬も受け入れるのが辛く、苦しみ悩むのだということを知りました。その閉じた心を開くには、世話するものが真摯にかかわっていくことしかありません。香苗は、人間にかかわるように責任をもって馬と出会っていきました。そしてだれもできなかった奇跡を起こすことができたのです。なにものにも変えることのできない大きな体験をしました。

この映画は、実際に三本木農業学校で1年をかけて撮影されました。主役の長渕文音さんは、この映画がデビュー作品です。試写会の舞台あいさつで、佐々部監督は長渕文音さんについて、「この1年の撮影の間に、はじめは素人の顔だった文音さんが、1年たってプロの顔になっていきました」と彼女の成長をほめていました。映画は、卒業式で終わります。在学時代に盲目の馬とかかわったことで、大きく成長した主人公と部員たち、そして、長渕文音さんの成長……。人間が成長していくことの美しさ、すがすがしさがひしひしと伝わってきました

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