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 奇 跡

2011年 6月

  

奇跡

  • 監督・脚本・編集: 是枝裕和
  • 出演:前田航基、前田旺志郎、大塚寧々、オダギリジョー
  • 配給:ギャガ

2011年 日本映画 1時間50分













仲の良い兄弟が、両親の離婚によって、博多と鹿児島に分かれて暮らしていた。母(大塚寧々)と共に母の実家のある鹿児島で、祖父(橋爪功)・祖母(樹木希林)と暮らしている小6の兄の航一(前田航基)は、いつか大阪に戻って家族4人で暮らしたいと願っている。航一は、父(オダギリジョー)と一緒に父の故郷の博多で暮らしている小4の弟・龍之介(前田旺志郎)に、携帯で時々連絡をとっていた。生活の様子を聞きながら、父に再婚話がないかどうかチェックしていた。

奇跡
(C) 2011「奇跡」製作委員会

九州新幹線の全線開業が近づいたある日、航一はクラスの友達から、耳よりな話を聞く。「九州新幹線の博多駅出発の“つばめ”の一番列車と、鹿児島駅出発の“さくら”の一番列車がすれ違うとき、奇跡が起きるというのだ。時速260キロで走る新幹線がすれ違うとき、すごいエネルギーが生まれ、それを見た人は願いがかなうと言っている。

航一は友達の真とたすくと一緒に、地図を確かめた。どうやらそれは熊本らしい。航一はさっそく龍之介に電話するが、航一とはちょっと思いが違うようだ。

友達を作ったり、水泳クラブに行ったり、ミュージシャンの父のコンサートを手伝ったりと、今の生活に満足しているようだ。しかし、仲良しの恵美から「家族でも会わないとか忘れる」と言われ考える。恵美は母との2人暮らしで、父がいない寂しい思いをしていた。

航一は真とたすくと計画を立てる。龍之介も、友達に力づけられ、「一人より、2人のほうが願いも届くだろう」と、再会を夢見るようになる。

3人は知恵を出し合ってお金を貯め、熊本までの電車賃を工面する。いよいよ出発の日、どうやって学校を抜け出すが最大の困難点だった。やっとの思いで、電車に乗った航一たちは、熊本の川尻駅で降りた。やがて反対側のホームには、龍之介と恵美たち4人が降り立った。

奇跡
(C) 2011「奇跡」製作委員会

7人は、すれ違う新幹線を見ることができる場所を高い場所を探す。そして、ひょんなことから、ある老夫婦の家に泊めてもらうことができ、翌日の奇跡の瞬間を想像しながら眠りにつく。翌日、老夫婦に見送られながら、7人は、新幹線が見える丘の中に向かった。

「来た!!」やがて、新幹線が近づく音が聞こえてきた。

 

前田航基君と旺志郎君は、「まえだまえだ」の名で有名なお笑いコンビです。両親を思う、祖父母を思うこの兄弟の自然な演技が、ベテランの樹木希林、原田芳雄、橋爪功たちを相手にしても臆することなく、作品を生き生きしたものにしていきます。

「スタンドバイミー」のような、子どもたちのロードムービーです。純粋に奇跡を信じて行動する子どもたち、彼らは周囲の大人たちに助けられながら、また大人たちは子どもたちから一つのことに向かっていくエネルギーをもらって、生き方が素直になっていきます。

樹木希林さんの孫であり、本木雅弘さんの長女・の内田伽羅さんが龍之介のクラスメイト役として出演していることも、大きな話題となっています。

離婚している夫婦が多くなっており、子どもたちは悲しい思いをしていることでしょう。子どもたちが主人公の映画ですが、この子たちを前にして、大人たちはどう接していったらいいのか、考えさせられる部分もある作品です。


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