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 やがて来る者へ

2011年10月

L'UOMO CHE VERRA

やがて来る者へ

  • 監督・原案・脚本・編集・製作:ジョルジョ・ディリッティ
  • 脚本:ジョヴァンニ・ガラヴォッティ、タニア・ペドローニ
  • 撮影監督:ロベルト・チマッティ
  • 音楽:マルコ・ビスカリーニ、ダニエレ・フルラーティ
  • 出演:アルバ・ロルヴァケル、マヤ・サンサ、
        クレタ・ズッケリ・モンタナーリ
  • 配給:アルシネテラン

2009年 イタリア映画 1時間57分

  • 2010年イタリア・アカデミー賞16部門ノミネート
             作品賞、プロデューサー賞、サウンド編集賞受賞
  • 2009年ローマ映画祭 審査員賞、観客賞受賞
  • 2010年ナストロ・ダルジェント7部門ノミネート
             美術賞、音響賞、プロデューサー賞受賞

悲しい悲しい物語です。しかし、これは第2次世界大戦末期に、貧しい農村で起きたナチスによる“マルザボットの虐殺”と呼ばれる実際にあった事件なのです。


物語

1943年。イタリア北部、ボローニャに近い山村に住む8歳のマルティーナ(グレタ・ズッケリ・モンタナーリ)は、両親や祖父母、叔母たちと暮らす大家族の中で、みんなから大切にされて育っていた。しかしマルティーナは、生まれたばかりの弟を、自分の腕の中で亡くしたショックから言葉をなくしていた。そのことで学校でいじめられたりしているが、やさしい叔母のベニャミーナ(アルバ・ロルヴァケル)がやさしくいたわってくれ、大家族に守られて、貧しいながらも平穏に暮らしていた。みんなで畑を耕し、夜は近所の人も一緒に集まり、子どもたちはおじいさんの話を聞き、女たちは縫い物を、男たちは畑の手仕事をして時を過ごした。

やがて来る者へ
(C)ARANCIAFILM 2009


静かな村に、戦争の足音は確実に近づいていた。ナチス・ドイツ軍が村にやってきたのだ。マルティーナの家にも、物資を買いにきていた。

夏が過ぎると、村の人々は戦争におびえるようになった。生まれ育った自分たちの土地は自分たちで守ろうと立ち上がった村の若者たちが、反乱軍・パルチザンに加わってドイツ軍に抵抗し、武器を持って家族から離れていった。

マルティーナは村の子どもたちと一緒に初聖体を受けた。ベニャミーナがきれいな服を作ってくれた。母親のレナ(マヤ・サンサ)に、また赤ちゃんができた。家族は新しい生命を喜び、その誕生に希望を置いた。しかし、厳しくなっていく戦いの中で、父親は「子どもたちに、いったい何が残せるか……」と考えていた。

やがて来る者へ
(C)ARANCIAFILM 2009


ある日、マルティーナは、遠くの木立の間で、スコップで穴を掘っているドイツ兵を見かけた。彼は軍服は着ていたが、帽子はかぶっていなかった。よく見ると、彼の近くに村の青年たちが銃を彼に向けて立っていた。穴を掘るのを止めたドイツ兵が掘った穴に向かって立つと、銃声がし、同時に兵士は穴に崩れ落ちた。

この事件がきっかけとなり、ドイツ軍とパルチザンの攻防は激しさを増していった。ドイツ軍は、パルチザンの居所を探して、村人の家に押し入り、家捜しを始めた。

1944年9月29日、ドイツ軍のパルチザン襲撃が始まった。身の危険が迫った村人たちは、手に手を取って山の上の教会に逃げた。子どもたちを教会の奥にかくまい、女たちは教会の聖堂に集まって一心に祈った。隙を見つけて、父親は生まれたばかりの弟を山の洞窟に隠した。しかし、子どもたちはドイツ兵に見つかり外へと連れ出された。

 

村人たちの夜の過ごし方は、「木靴の樹」を思い出させます。奇跡のように生き残ったマルティーナは、その幼い腕に赤ん坊の弟を抱き歩き始めます。赤ん坊のために歌を歌いながら……。

彼らの犠牲を無駄にしないように、彼らの生きた証しをしっかりと受け止め、こんなことが2度と起きないように、いえ、2度と起こさないようにしなくてはいけません。


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