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 わすれないふくしま

2013年 3月

わすれないふくしま

  • 監督・編集:四ノ宮浩
  • 製作プロデューサー: 佐久間肇、遠藤久夫
  • エンディングテーマ曲: こいずみゆり
  • 音楽協力: 鈴木雅明
  • 配給:オフィスフォー、トラヴィス

2013年 日本映画 1時間36分


日本一美しい村と言われた飯舘村。福島第一原発から北西40キロの地にあるこの村は、放射能の値が高く、2011年4月に政府から全村避難の命令が出ました。多くのひとびとが村を去っていきましたが、畜産が盛んなこの村では、たくさんの牛を置いて出ていかなくてはいけないという苦しみを味わったひとびとがいました。

主に3組の生活を追います。飯舘村の高橋さん一家は、2011年6月に隣町の川俣町に避難しました。高橋さんを撮影していて、高橋さんのフィリピン人の妻の友人の夫が自殺をしたという話を聞きました。その家に向かいました。放射能を恐れた菅野さんの妻は、子どもを連れてフィリピンに帰国したことに力を落とし、借金を抱え、牛を処分させられた菅野さんは、たい肥小屋の壁に「原発さえなければ」と書き残して、自らの命を絶ちました。原発から20キロ圏内にある浪江町のエム牧場では、300頭の牛が飼育されています。

わすれないふくしま


四ノ宮浩監督は、フィリピンの首都マニラ郊外にあるゴミ捨て場「スモーキーマウンテン」で暮らす子どもたちを追った「忘れられた子供たち スカベンジャー」(1995年)で高い評価を受け、続く「神の子供たち」(2001年)でも、ベルリン映画祭、モントリオール映画祭に正式招待作品として上映され、20カ国で上映されて、世界から大きな反響を呼びました。

社会のひずみで生きざるを得ないひとびとの生活を見つめることによって、そのひずみを生んだ社会を、鋭い目線で追っていく四宮監督は、福島第一原発による被害を受け、瀬戸際の生活をしているひとびとにマイクを向けながら、救いようのない彼らの生活を掘り下げていきます。

テレビのニュース番組や新聞では見たことのない、牛たちの悲惨な姿が映し出されます。牛たちも苦しかったでしょうが、自らの手で生コンを回して牛舎を作り、一生懸命に育ててきた畜産家にとっても、耐えられないものでした。現実を映し出されたこの映像を、しっかりと見つめたいと思います。

四ノ宮監督は、はっきりと言っています。「日本人の仕事や大切な故郷を根こそぎ奪い、善良なるひとびとを病気や死に追いやるものなどは絶対にこの日本にはいらないのです!」


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