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 いのちを楽しむ ~容子とがんの2年間

2013年 5月

 

いのちを楽しむ

  • 取材・構成: 松原明、佐々木有美
  • 出演:渡辺容子、近藤誠、渡辺越子、森友義、谷口光枝、
        宮澤和子、沼田仁子
  • 配給:ビデオプレス

2013年 日本映画 1時間42分

  • 文部科学賞選定(青年・成人向け)
  • 日本映画ペンクラブ推薦

がんに冒されたとき、どのような生き方を選びますか? がんとのつきあい方には、いろいろな道があります。抗がん剤などいろいろな治療を試み、がんを撲滅するために戦う。そのためには、激しい副作用を伴うことがあり、厳しい戦いとなります。しかし、こういう生き方もあります。がんとの厳しい闘いは避け、がんを患った自分の身体と普通に生きる道です。

映画「いのちを楽しく ~容子とがんの2年間」は、自然体で生きることを選んだひとりの女性の、2010年の夏から2012年3月30日に58歳でなくなるまでの2年間を追ったドキュメンタリーです。

1954年3月29日、福島県川俣町に生まれた渡辺容子さんは、東京の杉並で育ち、杉並区の学童クラブで指導員として働いていました。40歳のとき、5mmの乳がんが見つかりました。当時、乳がんは乳房を切除するのが普通でした。しかし、乳房温存治療を進めている医師がいました。『患者よ、がんと闘うな』の著書で話題になっていた、慶應義塾大学病院の近藤医師の提唱していることに共感し、手術や抗がん剤の治療を避ける緩和治療を選びます。

容子さんがこのような生き方を選んだのは、30代で亡くなった女性を看取ったからです。このことから、たくさんのことを学んだと言います。「抗がん剤は使わない。強い薬は使わない」と決めました。がんをいろいろな角度から考えるようになり、物事を多面的に考えるようになりました。人生を淡淡と生きるようになり、自分の人生に満足できるようになったと言います。

2000年にがんが4.5cmとなり手術。2008年には全身への転移が見つかり、2010年3月に余命1年と言われました。

いのちを楽しむ


2010年10月、大腸がんを患っていた母親が亡くなりました。「自分が先でなくてよかった」。

病の身体で、3.11を迎えます。体力が無くなっていく中で、故郷・福島を思い、「できることは発信しなくては」と考えるようになりました。集めた署名を、東京電力に提出しました。小笠原へ船の旅をし、脱原発集会に参加しました。がんにうちひしがれることなく、今までと同じように生活しました。

しかし2012年に入ると体力が急激に減退し、毎日通院する必要が出てきました。妹さんの他に、その生活を助けてくれたのが友人たちです。4人の友人が介護チームを作り、通院生活、在宅での生活を全面的にサポートしてくれたのです。容子さんの周りには、いつもたくさんの友人の姿がありました。

がんを抱えながらも、明るく、普通に毎日を生きていた容子さん。こういう生き方もあるよ、と容子さんの生き方が語っています。がんに直面したとき、どのように生きていこうと考えるか、一つの道筋を与えてくれる容子さんの生き方です。


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