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 女たちの都 ~ワッゲンオッゲン~

2013年 9月

女たちの都

  • 監督: 禱 映(いのり あきら)
  • 音楽:渡邊 崇
  • 出演:大竹しのぶ、松田美由紀、杉田かおる、
    西尾まり、ブラザートム、遠藤憲一、中村有志、
    長山藍子
  • 配給:株式会社映画24区、アルゴ・ピクチャーズ

2013年 日本映画 1時間43分


映画の舞台は、熊本県天草市牛深。かつては色町としてにぎわっていた豊かな漁村でしたが、今は、魚の水揚げも少なく、働く場所もなく、衰退の町No.1と言われています。男たちは仕事もせず、集まってしゃべっているだけ。見かねた女性たちが、「男にはまかせておけない」と、奮起します。タイトルになっている「ワッゲンオッゲン」とは、上天草の方言で 「あなたの家 私の家」 と言う意味です。その名の通り、町の人々は、とても仲良しです。

監督は、「パッチギ」「フラガール」などの作品でプロデューサーを務めた禱映氏です。「東日本大震災以降、いや、それ以前から感じていた日本の閉塞感。そんな中、少しでも笑い、少しでも希望の見える映画を作れないか。日常にある笑いを描き、人々に元気を与えるような映画を……」という思いで、この作品を手がけたそうです。大竹しのぶをはじめ、ベテランの俳優陣が名前を連ね、ドタバタとした笑いの中にも、立ち止まってほろりとさせる場面のある、人情味あふれる作品です。


物語


熊本県天草市牛深。弓枝(大竹しのぶ)は、夫の晃司(ブラザートム)と二人でウツボ屋を営んでいた。大学生の娘・美香は、都会で暮らしている。俊恵(西尾まり)は漁師の夫・徹也(遠藤憲一)、夫の母(長山藍子)と暮らしているが、結婚して10年になっても子どもができず、義母に「孫はいつ生まれるのか」と嫌味を言われる毎日だ。アネさんと呼ばれている独身のゆり子(松田美由紀)は、スナックを開いていた。

祭りがやってきた。幼なじみの晃司、徹也、独身の昭一(中村有志)は、宴会を開いて騒いでいるが、台所では、女たちが世間話をして騒いでいた。話はいつも「町の活性化」について。この地は、かつて花街としてにぎわっていたが、今は働き先を見つけるのも大変なほど、過疎化していた。花街の中心だった遊郭・三浦屋は、築100年を迎え解体が決まっていた。

女たちの都
(C) 2012「ワッゲンオッゲン」製作委員会


男たちは、町の活性化のために、いっこうに動こうとしない。弓枝たちは、もう男たちに頼ることをあきらめ、女たちで何かをはじめようと考えた。出てきた答えは「芸者!」。

その夜、弓枝は夢を見た。義母が「三浦屋を料亭に」と言った。

翌日、幼なじみの春美が東京から帰ってきた。エコ生活をしている晴美(杉田かおる)は、自然とともに生きる故郷での生活を見直し、離婚を機に戻ってきたのだった。

弓枝は、春美も仲間に引き込んで、地域活性化計画に取りかかった。アネさんのアイデアで、インターネットを使っての芸者募集、俊恵は同窓生に電話をかけまくり、人を集めた。春美は地元の農家から野菜を求めて料理を担当、弓枝は地酒を求めて、牛深の女性たちのところへ。

芸者の募集に応えて、女性たちが集まってきた。シングルマザー、借金をかかえた女性、婚活目的の女性。最初はファミレスも本屋もない生活に戸惑っていた彼女たちも、次第に田舎の生活に慣れていき、料亭も着々と準備が進んでいた。女性たちは、生きがいを見つけてやる気満々だった。

「お母さんの夢は何?」と娘の美香から尋ねられた弓枝は言った。「お母さんは、夢を見つけた。美香が帰ってこられる天草を作ること!」

 

すでに九州では、2013年のはじめに、先行上映が行われました。この映画のような町は、日本各地にあると思います。町おこし、生きがい、地域の人々との絆、家族の思いやり、いろいろな内容が詰まった作品です。


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