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 グォさんの仮装大賞

2014年 1月

FULL CIRCLE

グォさんの仮装大賞

  • 監督・脚本:チャン・ヤン
  • 原作:リォウ・フェンドウ/li>
  • 演出:シュイ・ホァンシャン、ウー・ティエンミン、イエン・ビンイエン、リー・ビン、ワン・ダーシュン、ツァイ・ホンシアン
  • 配給:コンテンツ・セブン

2012年 中国映画 1時間44分

  • 第25回東京国際映画祭アジア映画賞 スペシャル・メンション受賞
  • 第4回ドーハトライベッカ映画祭観客賞受賞

「こころの湯」(2001年公開)、「胡同のひまわり」(2007年公開)など、中国の心温まる人間模様を描き続けているチャン・ヤン監督が、またまた、ステキな作品を作りました。高齢者たちの活躍を描いたこの作品には、中国のベテラン俳優たちが出演しています。笑いの中にもホロリとさせ、最後の夕日の場面には、人生を考えさせる深い内容となっています。中国の高齢者事情も、珍しく興味をそそられる作品です。


物語

妻に先立たれ、家を処分したグォ(シュイ・ホァンシャン)さんは、息子との間がうまくいっていず、呼ばれていない孫の結婚式に出向いて関係は最悪になる。大切な植木鉢と小さな荷物を持って、友人のチョウ(ウー・ティエンミン)さんが暮らす老人ホームを訪れる。優しいチョウさんの好意で、チョウさんの部屋に泊まることになる。

グォさんの仮装大賞
(C) 2012 Desen International Media Co., Ltd


そこで暮らす高齢者たちは、みな元気がなく、人生の墓場のような暗さが漂っていた。また、グォさん自身も、夜、失禁してしまい、身体の老化を痛切に感じた。この歳になりながら身を横たえる床もなく、血を分けた息子には、いまだにゆるしてもらえないばかりか、償う機会も与えてもらえない。汚したものの後始末をしながら、グォさんは、自分の人生はいったい何だったのかと、生きる希望を失っていった。ホームの他の人々も、それぞれのここに来た事情を語りはじめる。

グォさんの仮装大賞
(C) 2012 Desen International Media Co., Ltd


気力を失っていくグォさんを見て、チョウさんはグォさんに大きなプレゼントを考える。仲間たちからベッドを作ってもらって自分の場所を持つことができたグォさんは、ホームの人々やスタッフに受け入れられて、次第に自分らしさを取り戻していく。

そんな中、チョウさんがテレビ番組の「仮装大賞」に出場しようと、仲間を募りはじめる。最初は無視していたが、元気な人々が次第に手を挙げた。グォさんも協力する。しぶっていたホームの院長(イエン・ビンイエン)も、家族の承諾をもらえるならばと活動を許可する。その日から、猛練習がはじまる。背中が曲がったガタガタの身体が動くようになり、先が見えてくるようになると、みなの顔は明るくなっていった。

グォさんの仮装大賞
(C) 2012 Desen International Media Co., Ltd


グォさんの仮装大賞
(C) 2012 Desen International Media Co., Ltd


パフォーマンスをお披露目する日がやってきた。グォさんとチョウさんたちは、仲間たちの大喝采をもらう。しかし、これからの体調と、テレビ局へのバス移動を理由に、家族からは反対があり「仮装大賞」への出演は夢と消える。

肩を落とす仲間たち。そこで、グォさんとチョウさんは、あることを思いつく。

美しい大草原を走る一台のおんぼろバス。運転手は、なんとグォさんだ。バスの中では、自由な世界に出てはしゃぐホームの仲間が騒いでいた。果たして彼らは、無事、テレビ局に辿り着けるのだろうか?

 

ホームで暮らす高齢者の一人ひとりの表情や仕草が自然で、リアル感を増しています。70代から90代の彼らは、舞台や映画で活躍していたベテラン俳優たちです。彼らの実人生とも重なって、老いることが人生を暗くすることではないことを教えてくれます。

「仮装大賞」は、仮装して行うパフォーマンスを競う番組です。練習、お披露目、ステージでといくつかのパフォーマンスを見せてくれますが、その発想はとてもユニークで楽しいものです。衣装や舞台装置、構成を考えたりと、たくさんの工夫をこらすことができ、チームワークも求められます。最後には、日本との関係も出てきて、中国の人々の思いを知り、ハッとさせられました。


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