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サムライフ

2015年 2月

サムライフ

  • 監督:森谷雄
  • 脚本:及川拓郎
  • 原作:長岡秀貴「サムライフ」(HIDBOOKS/ポプラ文庫)
  • 音楽:原田智英
  • 主題歌:爆弾ジョニー
  • 出演:三浦貴大、松岡茉優、加治将樹、柾木玲弥、
        山本涼介、佐藤めぐみ、渡辺大
  • 配給:ビターズ・エンド

2015年 日本映画 1時間58分



ひとりの若者が、理想とする学校を作ろうと、かつての教え子たちの協力を得て、資金集めからはじめて、夢を実現していく物語です。こういうことで学校と言えるのか、これで学校が成り立つのか、こういう教育が長続きするのか、とさまざまな疑問、憂いが出てきます。しかし、このおとぎ話のような学校設立物語は、実話なのです。長野県上田市にある「侍学園スクオーラ・今」という学校です。創立から10年を迎え、実際の侍学校でのオールロケで、この映画は完成しました。三浦貴大が、夢は持っているが現実味がなく、頼り無く見える青年を好演しています。

物語

「自分の生き方を自分で決める学校。学校へ行きたくてもいけない子のために学校を作る」 27歳のナガオカ(三浦貴大)は、俺の夢は、自分の学校を作るために、高校教師をやめた。しかし、貯金はわずか725円だけ。学校にしようと目を付けているぼろ屋を買うことができず、時々訪れては、ただ眺めるだけだった。ナガオカの夢を応援してくれるのは、妻のミホコ(佐藤めぐみ)と、恩師アリちゃん(渡辺大)との約束だった。資金作りのためにナガオカは、ショットバーをはじめた。これで資金が集まるのか、頼りなく感じながらも、かつての高校での教え子たちが、彼のやり方を見ていられず、または、自分も何もすることがないのでちょっと手伝いに、または、都会での就活に疲れ地元で働こうと、集まってきた。ユミ(松岡茉優)、ケンジ(加治将樹)、タカシ(柾木玲弥)、ダイスケ(山本涼介)、実は彼らも、自分の居場所を探していたのだ。

 サムライフ
(C) 2015『サムライフ』製作委員会


 サムライフ
(C) 2015『サムライフ』製作委員会


ショットバーもいいけれど、もっと手堅く資金を集める方法として、自らの教育への考えを書いた本「脱・教師ダッセン」を出版した。これが大当たり。講演依頼も来て、書店への本格的な営業活動にまで発展した。学校設立も近いと思われた。

その一方で、ナガオカは、学校に行っていない子どもたちの家庭を訪れてカウンセリングを行っていた。小学校に通っていないアキはいつも妹と二人だけ。母親は水商売で働いている。「学校へなんか行きたくない」というアキの、書いては消し書いては消して練習していた漢字ノートを見つけたナガオカは、学校に行きたいアキの本心に触れる。またある日は、リストカットをしているハルを訪問する。ナガオカの本を読んで、連絡してきたのだ。重い現実の中にいる子どもたちと出会いながら、ナガオカは、自分が目指している教育への挫折を感じ始めた。

 サムライフ
(C) 2015『サムライフ』製作委員会


 

日本の学校教育では十分に手をかけて、見守ってあげることができない部分を、こういう青年たちが担ってくれるのでしょう。こういうい学校がこれからも増えていき、学校なんて行きたくない、引きこもり、自虐、親からの虐待など、ひとりひとりの必要に応える教育がなされる現場が、実現してけばいいなと思います。そういう意味では、もっと行政や地域、周囲の人々が応援してあげていいと思います。少しずつ、少しずつ、日本も変わっていけるでしょう。


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