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ソ連国境 15歳の夏

2015年 7月

 ソ連国境 15歳の夏

  • 監督・脚色・脚本・プロデューサー:松島哲也
  • 原作:田原和夫著『ソ連国境・15歳の夏』(築地書館刊)
  • 脚本:友松直之
  • 音楽:上野耕路
  • 出演:柴田龍一郎、金澤美穂、小島杏奈、
       澤田怜央、大谷英子、三村和敬、六車勇登、
       金子昇、田中泯、夏八木勲
  • 配給:パンドラ

2015年 日本映画 1時間34分



昭和20年夏、田原和夫氏は、満州国の首都にある新京第一中学校の3年生でした。勤労動員で、120人の生徒たちは、ソ連国境の農場に派遣され、働いていました。協定を結んでいたソ連軍が、突如満州国を攻めてきました。国境を守るべき関東軍の兵士たちの姿はなく、生徒たちは置き去りにされます。「生きて親元に帰すのが自分の使命」と必死で先頭を歩く担任と少年たちの苦しい逃避行が始まります。

「ソ連国境・15歳の夏」は、「東満の戦場で、何を聴き、何を見たか、という体験を正確に記録して、戦争の悲惨な実相を後世に伝えよう」と思いたった田原和夫氏の体験をもとにして製作されたもので、3.11で被災した福島の中学校の放送部員が、夏休みに中国の小さな村からの招きを受けて、終戦当時の満州で起きた出来事を取材するという形で、今のわたしたちに満州国境地帯で起きた出来事を伝えています。


物語

2011年の夏、3.11で被災した15歳の敬介(柴田龍一郎)は、仮設住宅から学校へ通い、放送部員として中学校生活を送っていた。校庭では、数人のボランティアの男性たちによって、除染作業が行われていた。津波で放送部の機材は流され、敬介たち部員は、毎年製作していた夏休みの作品に取りかかることができないと頭を抱えていた。

そんなとき、顧問の古賀先生(大谷英子)が、思いがけない話をもってくる。中国黒竜江省の石岩鎮という小さな村から取材をしてほしいという招待がきたのだという。さらに、取材のためにと新しいカメラも送られてきた。招待してくださった方は、いったいどんな人なのだろう。「石岩鎮」とは、どんなところなのだろう。これで作品を作ることができると喜ぶ敬介たち部員は、疑問を抱えつつも、中国というまだ見ぬ地に夢を膨らませ、希望のうちに中国へと旅だった。

 ソ連国境 15歳の夏
(C)「ソ満国境 15歳の夏」製作委員会


古賀先生は、旅の間、カメラと一緒に送られてきた一冊の本を読んでいた。古賀先生は生徒たちに何の本かと問われ紹介する。本には、戦時中、新京第一中学校から勤労動員として、ソ連との国境にある農場に送られ、そこで終戦を迎えた120名の少年たちの体験が綴られていた。

 ソ連国境 15歳の夏
(C)「ソ満国境 15歳の夏」製作委員会


石岩鎮に着いた敬介たちは、村の長老・金氏(田中泯)に合い、取材を頼まれる。67年前の出来事を知っていくにつれ、敬介たちは、同世代の少年たちが体験したことに驚きつつも、避難生活を送る自分たちの心を重ねていく。


 

満州での悲しい数々の出来事は聞いてきましたが、中学生たちのこの話は知りませんでした。少年たちの歩いても歩いてもゴールが見えてこない逃避行、中国の村人たちの助け、突然の解放による喜びと、日本に帰ることを選択できない仲間の思い。子どもたちに過酷な運命を負わせた戦争ですが、この映画には、仲間を思う少年たちの強い友情と他者を思いやる心、そして時代を超えてつらなる人の心が描かれています。



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