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ボクは坊さん。

2015年10月

 ボクは坊さん。

  • 監督:真壁幸紀
  • 脚本:平田研也
  • 原作:白川密成著『ボクは坊さん。』(ミシマ社刊)
  • 音楽:平井真美子
  • 出演:出演:伊藤淳史、山本美月、溝端淳平、松田美由紀、有薗芳記、松金よね子、品川徹、渡辺大知、濱田岳、イッセー尾形
  • 配給:配給:ファントムフィルム

2015年 日本映画 99分



原作の『ボクば坊さん。』を書いたのは、四国八十八ヶ所霊場、第57番札所である栄福寺の住職、白川密成師です。白川住職はお寺での日々の暮らしを、自身がファンだった「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載し、それが本になりました。映画の中のお寺の場面は、実際に栄福寺でロケがおこなわれました。若い住職が奮闘する現代のお寺事情をご覧ください。


物語

白方進(伊藤淳史)は、高野山にある高野山大学で僧侶になる修行をし、僧侶の資格である阿闍梨となって修行を終え故郷に帰ってきた。白方の実家は、お遍路さんで有名な四国八十八ヶ所霊場第57番札所の栄福寺である。大学時代の友人の孝典(渡辺大和)は、実家の寺を継いで住職となったが、もうひとりの広太(濱田岳)は一般企業に勤めていた。進は、住職である祖父の瑞円(品川徹)を尊敬していたが、寺に入る決心はつかず書店で働いていた。幼なじみの京子(山本美月)と真治(溝端淳平)は進のところに来ては、進がいつ寺に入るのかと待っていた。

 ボクは坊さん。
(C)2015映画「ボクは坊さん。」製作委員会

ある日、住職の瑞円が倒れた。父・一郎(有薗芳記)と母・真知子(松田美由紀)、そして祖母・宣子(松金よね子)は、進がどうするか見守っていた。小さいころの祖父との会話を思い出した進は、自分の道を自覚し、お寺を継ぐことを決心する。24歳だった。光円という僧名を進に与えた祖父・瑞円は、安心したかのように息を引き取った。

名実ともに栄福寺の住職となったが、大学は出たものの寺を運営していく日々の務めについて、何もわからないまま住職としての一日がはじまった。朝のお勤め、遍路さんへの対応、檀家との総代会、実地で学ぶしかなかった。檀家の長老・新居田(イッセー尾形)の厳しい目が光っていた。やがて光円は、仏教をもっと人々に知らせたいという夢を持つようになる。

 ボクは坊さん。
(C)2015映画「ボクは坊さん。」製作委員会

そんな中、寺で結婚式を挙げた京子が、出産のさなかに脳内出血を起こし、意識が戻らないとの連絡が入った。


 

我が子として心配しながらも、住職として尊敬し、そっと見守り助言を与える母親を演じる松田美由紀の姿が、ひかります。法衣を身にまとったものの、当初は、住職としての自覚と覚悟がなく、頼りないような僧侶が、失敗をし、檀家の人々に厳しく言われ、悲しい出来事に立ち上がれなくなっても、人々のために生きていくために成長していく若い僧侶の姿を、コミカルに描いています。住職の姿を、カトリック教会の司祭たちの姿と重ねて見ていました。自分の人生を自分が生きるものとして受け取っていく、人々とのかかわりの中で生きていくことの幸せを感じる映画です。



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