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うさぎ追いし –山極勝三郎物語–

2016年12月

 うさぎ追いし

  • 監督:近藤明男
  • 脚本:篠原高志
  • 音楽:近藤清明
  • 題字:川村龍洲
  • 出演:遠藤憲一、水野真紀、豊原功補、岡部尚、横光克彦、高橋惠子
  • 配給:新日本映画社

2016年 日本映画 1時間51分


2016年度のノーベル生理学・医学賞を受けた大隅義典栄誉教授が、12月10日(現地時間)に、スウェーデンのストックホルムで授賞式と晩餐会に出席されました。この時期に、日本では、病理学・山極勝三郎の生涯を描いた映画「うさぎ追いし」が公開されました。

山極勝三郎という名は、この映画で初めて知りました。江戸から明治へと時代が変わった時期、野口英世とほぼ同時期に、江戸で医学を学び、臨床医から病理学へと道を変更し、「癌を作ることができれば、癌を治せる」という信念のもとに、うさぎを実験台にして壮絶な癌研究の道を歩んだ人です。幾度かノーベル賞に名が上がりながら授賞はできませんでしたが、彼の死後、同じ研究でノーベル賞を受けた研究者から「彼こそがノーベル賞を受けるべき人物だった」と言われ、彼の功績をたたえられました。映画では、故郷である長野県上田の人々、ともに江戸で医学を学んだ仲間、家族、研究を支えた人々との交流を描きながら、日本の癌治療に大きな貢献を果たした山極勝三郎の偉業を伝えています。


物語

明治のはじめ、上田藩の下級武士の家系に生まれた山本勝三郎(遠藤憲一)は、16歳のとき、町医者の山極吉哉(横光克彦)の後を継ぐために、友人の金子滋次郎(豊原功補)と一緒に上京した。山極の娘・かね子(水野真紀)と結婚し、婿養子となった。しかし、東京帝国大学の医学部に入学した勝三郎は、臨床医ではなくで病理学の道にすすむことを決意する。やがて32歳で教授に昇進、かね子との間には、3人の子どもが生まれ、幸せな家庭を築いていた。そんな勝三郎を、結核が襲う。かね子や滋次郎の心配をよそに、「癌を作ることができれば、癌を治すことができる」という信念のもの、勝三郎は病と闘いながら、助手の市川厚一(岡部尚)とともに、うさぎの耳に癌を発生させるべく、顕微鏡を覗き、実験を重ねていく。「実験には、緻密さと大胆さが必要なのだ」。それは試行錯誤や、うさぎが死んでしまうとい事態などとの悪戦苦闘の連続だった。

うさぎ追いし
(C) 2016「うさぎ追いし–山極勝三郎物語–」製作委員会


病の身の上に、睡眠不足でありながらも実験室に行こうとする勝三郎を、かね子は「命より大切なものはありません」と止めようとするが、「命より大切なものが、あるんだよ」と、実験室に向かう勝三郎。果たして、その実験は……。

うさぎ追いし
(C) 2016「うさぎ追いし–山極勝三郎物語–」製作委員会



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