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新世紀ルーツへの巡礼

目次

創立の歩みの中で

難しい道のり:いくつかの困難

身体検査

1918年のはじめ、アルベリオーネ神父は再び徴兵検査を受けることになりました。徴兵検査の年齢に受けた最初の検査では、弱い体のゆえに一時不合格・再検査となっていました。しかし、世界戦争もたけなわとなり、前線に多くの兵士を送りこまなければならなかった政府は、徴兵検査で不合格になっていた人も、再び体力検査を受けるようにと指令をだしました。彼も再検査のために、招集されたのです。

再検査のための医師の診察の日に、当時の神学生や司祭たちがみなしていたように、彼もスータン(司祭のための洋服)を脱ぎました。自分の洋服というものを持たなかった彼は、同じくらいの背丈の少年から私服を借りました。グレイの詰めえりの上着と半ズボン、それにひさしのついた黒いベレー帽でした。

この再検査でもアルベリオーネ神父は、不合格だったのです。「兵役免除」という慰め深い宣言を持ち帰ったのでした。

もしこのときに合格になっていたら、生まれつつあったパウロ家族はどうなっていたのでしょうか?

アルベリオーネ神父を戦争にとられるのではないかとだれよりも、恐れ案じていたのは、だれでもなく、若い女性たちの責任をとっていたシニョリーナ・メルロ・テレザ(後に、修道名としてテクラと呼ばれる)でした。

彼女にまずこの素晴らしいニュースを知らせようと、アルベリオーネ神父は、開設して間もない娘たちの書院に立ち寄ったのでした。ドアーから首だけをいれて、最初に出会った娘に「私は兵隊にとられなかった、とテレザに言ってください」と伝言し、彼は戸を閉めて出て行きました。日ごろ、スータン姿で神父を見慣れていたので、こんなかっこうで現れたアルベリオーネ神父を、彼女は見分けることができませんでした。

アルベリオーネ神父が「兵役免除」になったら、聖コスマとダミアノ教会の主祭壇のために、絨毯(じゅうたん)を奉納しますと誓いをたてていた娘たちは、約束を果たすことになりました。

クレリアは、こう言っています。
「私たちは主がアルベリオーネ神父さまを、私たちの間に、残してくださいますようにと、修道院で、たくさん祈っていました。私たちは、その願いが聞き入れられれば、聖コスマとダミアノ教会の祭壇のために、大きな絨毯を寄付する約束をしていました。

…ある日、私は書院に行っていました。一階の部屋に1人でいました。するとドアが開いたとたんに、1人の若い人が入ってきました。…「印刷学校」の生徒のような格好をしていました。

彼は私を見て、ほほえみながら言うのです。『テレザに伝えてください。私は兵隊に採られなかったと』。彼は、再びドアを閉めて行ってしまいました。私は、あの人は一体だれなのかしらと確かめようとしましたが、もうその方は別の道に曲がっていませんでした。

その間にシニョリーナ・メルロ・テレザが来ましたので、私はその事を伝えると、テレザは、びっくりし、嬉しそうに私に言いました。『あなたは、わからなかったのですか? 神父さまでしたのに!』と

私たちは修道院で直ちに、絨毯のための募金を募りはじめました。…」

この兵役免除で、実際アルベリオーネ神父は、パウロ家族を導き育てることになりました。

◆2--2 創立の歩みの中で


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