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新世紀ルーツへの巡礼

目次

6--5 東洋の訪問を終えて

3) シスターテクラ・メルロのレポートから

メキシコのシスターと志願者と共に
メキシコのシスターと志願者と共に

シスターテクラ・メルロは、アルベリオーネ神父同様、旅行について「学んだこと」と題して、パウロの娘たちに回状をだしています。


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世界一周の長い旅行から帰ったところで、私が学んだいくつかのことをお伝えしたいと思います。

  1. 私は、私たちが無であり、なんの値打ちもなく、神の恵みによらなければ何もすることができないということを学びました。
     ですからいつも謙遜を保ち、祈りのうちに神の助けを願わなければなりません。私たちは台無しにすることしかできません。一方、主は、素直で謙遜な人びとを見つけられると、偉大な業をなさることができます。子どもたちによかれと思う父のように、神は温かく一つひとつのことを配置し、導かれます。
  2. 私が学んだことは、永遠に続くものだけがたしかに価値をもつということです。一時的なことがらはなんの値打ちもなく、たちまちに終わってしまい、満たすことがありません。過ぎ去ることをあまり気にせず、永遠に、そうです、神にしっかり結びついていましょう。永遠に価値あるものを積み重ねましょう。これこそがいつまでも残るのです。
  3. たくさんの人びとは救いを待ち望んでいますが、福音のために働く人はほんの少ししかいません。考えてみてください。人類の半分はまだ神を知りません。そして残りの半分は、神を知っていながら神にはほとんどお仕えしていません。……。使徒が必要です。しかし、ほんものの使徒、神の愛で心が満たされている使徒でなければなりません。

私が訪ねた修道院はどこでも人手不足を訴え、助けを求めています。外国に行くこと、または宣教に出ることを望む方は、寛大さと犠牲の精神がなければなりません。主をたくさん愛していることが必要です。主を愛するなら、どこにいても喜んでいられます。ある人びとは宣教地について夢中になって話し、そこへ行きたいというのです。ところが……自分でつくった気持ちのいい小さな巣から移そうものなら、たいへんなことになります!

宣教者の心を養うことが大切です。それは寛大な心であり、快適さからの離脱の心、どんな状況にも対応できる心です。

大きな慰めを感じながら、ぜひともみな様に申しあげたいことは、訪問したどの修道院でもたくさんの善意が感じられたことです。みな、おのおのの聖化のため、そして人びとのために熱心に働いています。みな、修道会を愛し、院長たちに深い愛をいだいています。繰り返して申しあげますが、どこの国でも忠実な姿をしばしば目にしたことは、私にとって大きな慰めでした。

フィリピンは、すぐれた召命と収穫の多い使徒職という点でとても有望です。共同体のメンバーは、12人のパオリーネ(誓願を立てた会員)、3人の修練女、4人の志願者、そして14人の準志願者です。新しい修道院は居心地がよく、広々としていて、ゆったりできています。家庭訪問による宣教は、豊かな実りをもたらしています。

日本では、4人の宣教女がいままで日本語の勉強に専念してきました。日本人のなかで家庭訪問による宣教をすることはかなりむずかしく思われましたが、アルベリオーネ神父ははじめるようにとおっしゃり、いまではイタリアや他の国々と同じように家庭訪問宣教をしています。プロテスタントの人からも、他宗教の人からも、みなから親切に迎えられています。

 東京の聖パウロ修道会は、たくさんのすぐれた本を出版しています。しかし、それを家々にまで届ける私たちの側のプロパガンディステ(家庭宣教をする宣教女)が足りません。すでに5人の日本人志願者はおりますが、なおイタリアからの助けを持っている状態です。

メキシコでは本がよく読まれ、家庭訪問による宣教は上手に組織されています。メキシコでは修道服を着用することが禁じられていますので、姉妹たちは私服を着ています。私があちらにおりましたときに、ひとりのメキシコの姉妹が着衣しました。つまり修道服の着衣式を行い、その後着衣したばかりの人は聖なる服を脱ぎました。

ニューヨークでは、広々とした土地に囲まれた新しい修道院を購入しました。養成院になることでしょう。ここでもまた、4人の志願者が着衣し、新たに4人が入会しました。

 たくさんの本を普及していますし、すでに新しい修道院ももっていますから、将来は印刷所も開設するようになるでしょう。アメリカ合衆国では、パウロの娘たちは本による家庭訪問宣教だけでなく、訪問する家庭の状態を書きとめることで、主任司祭に役だっています。

コロンビアには行きませんでしたが、院長に会い、いろいろなよい知らせを聞きました。6人の準志願者がおり、さらに他の召命の希望もあります。神に感謝!


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帰りがけに、私たちはポルトガルに立ち寄ってファティマに行ってきました。あなた方みなを思いだして、無原罪のマリアに祈りました。

実に、地上のあの一隅ではこの世のものでない何かが感じられます。アルベリオーネ神父は、聖母のご出現の場所でミサをささげられました。その場所には、小さな聖堂が建てられています。聖母が私たちみなをイエスのものにしてくださいますように。

アルベリオーネ神父は、訪問した先々のすべての修道院に豊かな祝福をもたらしてくださいました。あるところでは、日本やメキシコでのように、8日間の黙想の説教をしてくださいましたし、また別のところでは充実した静修を指導してくださいました。姉妹たちはまったく自由に気がねなく、アルベリオーネ神父に近づき、彼と話をしました。アルベリオーネ神父はいつも疲れを知らず、たえず父親として、娘たちみなを喜ばせ、聖人になろうという望みと善意で満たしてくださいました。

主に感謝しましょう。主は、遠くにいる愛する姉妹たちとの再会の喜びを得させてくださり、最高の旅をさせてくださいました。これらの善いことはすべて、みな様の祈りのおかげです。

東洋の国々とすべての国々のために、いつも祈ることを心がけましょう。主に、広い心と世界のさまざまな必要を感じとる心を願い求めましょう。いつも修道会に結ばれているようにしましょう。一致においてこそ、たくさんの働きとめざましい進歩がなされるでしょう。

師キリストが、私たちを祝福してくださいますように!

1949年という年

アルベリオーネ神父とシスターテクラ・メルロの旅行中の1949年6月27日、教皇ピオ12世は聖パウロ修道会とその会憲に全面的な最終認可を与えました。

聖パウロ女子修道会とその会憲の教皇最終認可を得るのは、1953年3月15日です。

そのような中、彼らの世界旅行は続き、9~10月にはフランスとスペインの共同体を訪問し、彼らを励まし、勧め、力づけています。

◆6--5 東洋の訪問を終えて


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