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なるほど! 社会教説 “しろはた”

第6回:みんなでしあわせになるためのポイント

<第1部、3章、3、B、c人間の尊厳の尊重132-134;第4章 教会の社会教説の原理、1 意味と一貫性160-163>

 わたしたちがみんなでしあわせになるために、このことは押さえておきたい、というポイントがあります。それは、人間の尊厳です。これまで述べてきた人権と自由の尊重は、この人間の尊厳を説明したものです。さらに、そこから導き出される基本的な考え方があります。「共通善の原理」、「財貨が万民のためにあるという原理」、「補完性の原理」、「連帯の原理」がこれです。これらについては、来週から順次掲載させていただきます。

 人間の尊厳とは、肯定的表現だと「一人ひとりを大切にしよう!」ということであり、否定的表現だと「一人ひとりを粗末にするな!」ということだと考えていいと思います。一対一の人間関係でも、より大きな社会でも、人間の尊厳はわたしたちの行動の原理であるべきです。ところが、人間がより大きな社会を形成していくにつれて、生きている一人ひとりの存在感が希薄化し、この人間の尊厳が軽視される、つまり、全体のために粗末に扱われる人が生じやすくなります。「みんなでしあわせになる」ことが人間の本意なのに、「みんなのために粗末に扱われる人がいてもしかたない」という空気が支配的になり、さらに進むと、「みんなのために粗末に扱われる人がいても当然だ」となってしまいます。

 子どもたちに語って聞かせる昔話の最後の決まり文句を、いつも耳に響かせていたいものです。「こうして、みんな、いつまでもしあわせにくらしたとさ。」


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