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聖霊講座

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第1回 なぜ“聖霊”なのか…


 霊ということはで、みなさまはどんなことを想像なさいますか?
 「幽霊」「霊魂」「霊媒」「霊感商法」「たたり」「霊場」など、さまざまなことばがあります。日本では、怖~~~いイメージですよね。

 『広辞苑』には、次のように書いてあります。

霊:
 ・肉体に宿り、または肉体を離れて存在すると考えられる精神的実体。たましい。たま。
 ・はかり知ることのできない力のあること。目に見えない不思議な力のあること。また、その本体。

今、私たちが深めようとしようとしているカトリック教会での「聖霊」とは、何なのでしょうか?

カトリック教会の“神”

 カトリック教会の洗礼を受けている人(信者)は、お祈りの始めと終わりに、または聖堂に出入りするときなどに、「父と子と聖霊のみ名によって。アーメン」と言いながら十字を切ります。つまり、こうです。

 「父と」で、右手を額につけ、
 「子と」で、その手を胸におろし、
 「聖霊の」で、左肩へ、
 「み名によって」で、右肩へもっていき、
 「アーメン」で、胸の前で両手を合わせます。

 これは「私は、神を信じます」という一種の信仰宣言でもあります。私たちの信じる神は、「父と子と聖霊」の神です。唯一の神でありながら、3つの位格(ペルソナ)を持っている神です。これを「三位一体の神」といいます。ウ~~ン、なんだか最初から難しくなってきましたね。

イエスの派遣

 イエスは、ご自分が「神(父)から遣わされた者である」という意識を持っており、このことを、たびたび人々に主張していました。ヨハネ福音を見てみましょう。

  神があなたたちの父であれば、あなたたちはわたしを愛するはずである。
  なぜなら、わたしは神のもとから来て、ここにいるからだ。
  わたしは自分勝手に来たのではなく、神がわたしをお遣わしになったのである。
                     (ヨハネ 8.42)

  永遠の命とは、唯一のまことの神であられるあなたと、
  あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知ることです。
                     (ヨハネ 17.3)

 そして、「自分を見た者は、父を見たのである」と言って、「ご自身と父である神が一つである」と宣言しました。ヨハネ福音書では、この点が強く表現されています。

 イエスは、父から出てこの世に来ました。それは、ご自分を遣わされた父の教えを述べるためであり、自分の意志ではなく、父の意志を果たすためでした。
 父の意志を果たしたイエスは、父のもとへと帰っていきます。つまり、父と、子であるイエスは一つなのです。

 では、父である神は、なぜイエスをこの世に遣わしになったのでしょうか。

  神は、その独り子をお与えになったほど、世を愛された。
  独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。
  神が御子(みこ)を世に遣わされたのは、世を裁くためではなく、
  御子によって世が救われるためである。
                     (ヨハネ3.16~17)

 父は、この世を愛しています。そして、イエスを通して私たちを救いたいと思われました。イエスの弟子たちは、「イエスが救い主である」と全世界の人々に知らせました。

聖霊の派遣

 イエスが遣わされたことによってもたらされた救いは、聖霊が遣わされることによって完成します。
 イエスは、ご自分の生涯の大切なときに、たびたび聖霊に満たされています。
   誕生のとき (マタイ 1.18~20、ルカ 1.35)
   洗礼のとき (マタイ 3.16 、使徒言行録 10.38)
   復活のとき (使徒言行録 2.33、 ローマの信徒への手紙 1.4)

 その聖霊が私たちのところに来るためには、イエスが死と復活をとおして父のもとに帰ることが必要でした。

  わたしは、父が約束されたものををあなたがたに送る。
  高い所からの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい。
              (ルカ 24.49)
              (使徒言行録 2.33参照)

この聖霊によって、私たちは、イエスをもっと理解できるようになります。

  真理の霊が来ると、あなたがたを導いて真理をことごとく悟らせる。
  その方は、自分から語るのではなく、聞いたことを語り、
  また、これから起こることをあなたがたに告げるからである。
  その方はわたしに栄光を与える。

  わたしのものを受けて、あなたがたに告げるからである。
  父が持っておられるものはすべて、わたしのものである。
  だから、わたしは
  「その方がわたしのものを受けて、あなたがたに告げる」と言ったのである。
                (ヨハネ 16.13~15)

ミサの中で唱える使徒信経を見ると、カトリック教会では何を信じるているのかがわかります。

  「天地の創造主、全能の神である父を信じます。
  父のひとり子、おとめマリアから生まれ、
  苦しみを受けて葬られ、死者のうちから復活して、
  父の右におられる主イエス・キリストを信じます。
  聖霊を信じ、聖なる普遍の教会、聖徒の交わり、罪のゆるし、
  からだの復活、永遠のいのちを信じます。」

このように聖霊は、大切な神なのです。

「霊」という言葉は、ヘブライ語では“ルハー”、ギリシャ語では“プネウマ”といい、風・息・人間の霊・神の霊など、いろいろ異なった意味を持っています。たとえば、旧約聖書の創世記のはじめには、次のように書かれています。

  初めに、神は天地を創造された。
  地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、
  神の霊が水の面を動いていた。
            (創世記 1.1~2)  
 
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