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「世界宗教者平和会議(WCRP)女性会議」に参加して

2006/09/25

1日目:8月26日(土)

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「WCRP(WORLD CONFERENCE OF RELIGIONS FOR PEACE)」は、1970年に宗派や党派を超えた国際的な組織として設立された世界的なネットワークで、諸宗教間の対話を促進しながら世界の紛争解決、平和構築などに取り組んでいる女性宗教者の組織と関連団体より構成され、世界60以上の国が参加しています。その第8回「WCRP女性会議」が、24から25日まで「世界宗教者平和会議世界大会」に先立ち、国立京都国際会館にて行われました。

「WCRP」女性会議においては、アフリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、カリブ海、アジアにおいて4つの地域女性宗教者ネットワークが構築されています。このネットワークの構築によって、情報が共有され、コミュニケーションがやさしくなり、互いにヒントやアイディアを受けられるようになりました。

今回の会議は、「信仰を持つ女性:行動のための結集」というテーマで行われ、参加国は、51カ国。出席数者は、日本208名、海外210名、その他スタッフ、ボランティアを含めて500名ほどでした。

正式参加者としては、地域諸宗教間対話評議会の代表者、女性宗教者組織の世界的ネットワークの代表者、諸宗教共同体において重要な地位にある女性代表者、「女性」や「宗教」の分野における専門家および学者などで、その他にオブザーバーとしての参加者が加わりました。

 

第1日目

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会議のオープニングセレモニーは、「文化交流」をとおして相互理解を深めるという目的で行われます。今回は平和を祈る献茶でした。お茶が立てられ、ささげられている間、会場は沈黙に包まれました。参加者たちは、お茶がささげられている姿に魅了されているようでした。約20分の沈黙の雰囲気は、その場にいる人びとを真の祈りに誘ってくれるものでした。

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その後、歓迎のあいさつ、開会のあいさつ、パネリストの紹介と進められていきました。基調講演は、南アフリカのエラ・ガンジーさんで、テーマは「あらゆる暴力をのり超え、共にすべてのいのちを守るために:女性ならではの役割」についてでした。

第1部は、立正佼成会のコーラス部の代表3名により、交流を深める平和の歌が歌われ、一同起立して「平和への道 “On this Path”を共に歌い、高まる雰囲気の中で終了しました。平和を求めて歩む女性のパワーはすごい、こちらにもパワーが伝わる感じがしました。

全体会議①においては、女性宗教者の宗教協力についてのパネルディスカッションがおこなわれました。最初に、「パネラーからプレゼンテーションを聞くだけでなく、アクション、希望、考えるきっかけの声を皆さんから出してください。参加型の会になることを希望しています」いう司会からの言葉がありました。

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リベリア、イスラエル、イラク、ラテンアメリカ、アフリカ……の代表者による話の共通したキーワードは、宗教、女性、教育、意志決定への参与、対話、水、平和、ネットワーク、開発、パートナーシップ、安全、平和……などの言葉でした。その後、質疑応答の時間が設けられました。

一人の米国の女性が「私の国がイラク戦争を起こしました。このことをここでお詫びしたいと思います。そして、私たちに何かおっしゃりたいことがありますか? 何か私たちにできることがありますか? 何かお手伝いすることはありますか? 」との質問がありました。イラクの女性は、この米国の女性の発言を「あなたの発言を感謝します。世界の女性は、すべての女性の苦しみが理解できるのです。米国の方は本当に平和を愛しているのでしょうか? 」とのやりとりは非常に心に打つものがありました。

パネリストの話の中で「安全」「命を守る場をつくることの難しさ」について語られていた時、日本の女性の中から「私たちはいわゆる平和ぼけしていますね」というつぶやきの声が聞こえてきました。

平和の担い手となるのは神からの天命であるという発言もありました。そのための情熱を持つこと、一人ひとりの中にある壁、貧困の壁、民族の壁、階級の壁…など、平和の担い手として破っていく必要がある、それは、今の時代の預言者の役割だという発言は、深く心にせまってくる感じがしました。

「女性の声が聴かれますように」との嘆願の声、叫びの声もありました。女性が自分の中にある声を発見し、声をあげ、共通の声を見つけていくこと、それを伝え、伝えたことを実践する、生き抜く、女性の役割を強める、などの発言からは“女性”としてのアイデンティティーを問われる思いがしました。実に豊かな示唆に富んだ時を共有せていただきました。

第2日目

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午前中は国・地域・地球規模の女性宗教者ネットワークの構築・強化についてのワーキンググループセッションが行われました。

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午後のワーキンググループセッションは、「紛争解決」「平和構築」「持続可能な開発のための女性宗教者の役割」について、会議場をボードで仕切り、その中でグループごとの出会いが行われました。ここから出される提案は、翌日から行われる「世界宗教者平和会議世界大会」に提出されます。

「報復はいけない」、と母親は子どもに教えますが、ニュースでは報復から報復への戦争暴力が伝えられています。子どもにもう嘘を教えるのを止めたいという発言は、毎日が戦渦の身にある人にとって、実に具体的な問い、葛藤だと思いました。

短い時間の中、実に活発に討議され、しかも多くの提案がされました。ここで出された提案はこれからどのように受け入れられていくのでしょうか。

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最後に総括会合が行われ、各グループでの提案事項が分かち合われました。その中で、ユニセフ事務局長アン・ヴェネマンさんの講演があり、彼女は「女性の役割は非常に大きいものをもっています。女性は犠牲者であり、サバイバーであり、主体者であり、変革者です。変革を起こす女性は、自分たちの身に起こっていることを語るのですから、証言者でもあるのです」と、力強く語られ、非常に時間的につまっている彼女は次の場へと、会場を後にされました。

新しく国際女性管理委員が9名ノミネートされ、もう一度平和の歌を参加者一同で歌い、集合写真をとり、会議は閉会されました。

この会議に出席しながら、女性としての視点を大切にしていくこと、女性が特別にもっている感受性“いのち”を育てていくこと、自分の中にあるさまざまな壁をまず取り払っていくことの大切さなど多くのチャレンジをいただきました。

そして、どうにもならないと感じたとき、今回出会った世界の女性たちのことを思い出そうと思ったのでした。

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