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9条世界会議 (1)

2008/05/12

チラシ

「9条は世界の宝だ!」 改憲の動きが危惧される中、NGOや市民たちが手作りで準備した9条を守るための世界会議が、5月4日(日)、5日(月)、6日(火)、幕張メッセで開催されました。この会議はその他にも、5日に広島で、6日には仙台、大阪で開催され、主催者側の発表によれば、全国でのべ3万人が参加したそうです。

入り口 入り口

千葉の幕張メッセには、開場の時間にはすでに長蛇の列ができるほど大勢の人が集まりました。開場とともにロビーは人であふれ、会場となったイベントホールには12,000人が日本各地からやってきました。会場の外には3,000人があふれました。海外からのゲストや参加者もあり、アメリカ、イギリス、イタリア、イラク、インド、エクアドル、オランダなど、31カ国・地域から150名以上が参加しました。今年の2月に広島を出発し、今日まで歩いてきたピースウォークのメンバーたちも元気に参加しました。人々の関心の高さがうかがえます。

アリーナ 海外からの参加者
大勢の人で埋め尽くされた会場 海外からの参加者

ピースウォーク
ピースウォークで広島から歩いてきた人々

「9条を世界に!」のことばどおり、プログラムは9条を日本の憲法としてだけでなく、世界の憲法として大切にしていこうという趣旨が伝わる企画になっていました。1日目は、2部構成の全体会議とコンサート、2日目は分科会やミニステージ・ライブハウス、3日目は世界宣言と評価が行われました。

では、1日目からご紹介しましょう。

 

1部 世界の希望としての9条

開会宣言:

吉岡達也(「9条世界会議」日本実行委員会共同代表)

吉岡達也

本会議の中心となって働いてくれた団体、国際交流NGO「ピースボート」のメンバーでもある吉岡さんは、予想以上にたくさんの人が集まってくれたことに驚いていました。次のように話し、開会を宣言しました。「世界の宝である9条を守るために、みなここに集まっています。イラクで亡くなっている方々のいのちと9条は直結しています。戦争のない、軍隊のない世界を作り出すためにがんばりましょう。」

このときスタッフの方々は、会場に入りきれない人々の対応に四苦八苦していたことと思います。会場内は、はじめての大きな集いに、みな興奮している感じで、9条へのことばを発するたびに、拍手が鳴り響きました。スタッフのみならず、参加している人々も心が高まっている感じでした。さあ、これからどのような展開が用意されているのでしょう。

ここからの司会は、落語家の古今亭菊千代さんです。ピースウォークのときに、9条の紋が入った羽織を着ていらしたことがありますね。

菊千代さん

 
基調講演

マイレッド・コリガン・マグワイア Mairead Corrigan Maguire
北アイルランド、ピース・ピープル、1976年ノーベル平和賞受賞

マグワイヤさん

紛争を対話によって解決する運動をしている。紛争を非暴力で解決することを訴えている。日本政府の中にも、社会にも、9条を放棄しようとしている人々がいることを残念に思う。日本の再軍備は、アジアの人々に脅威を与えるものだ。9条をないがしろにすることは、世界を危険な場所に変えてしまうことになる。

ブッシュ大統領は、先制攻撃は予防戦争であると言っているが、イラク国民に謝罪をしなければならない。心の中から、武装解除をしていく必要がある。憎悪を捨て、非暴力の文化を築いていく必要がある。米国は、いつの日か、原子爆弾を投下したことに対して日本人に謝罪するようになればいい。日本が日本憲法をないがしろにするようなことがあれば、それは被爆者をないがしろにしたことになる。

平和活動の重要な要素として、核軍縮を訴える。テロが最大の脅威としてなっているが、これは間違いだと思う。すべての紛争当事者を包含した対話こそが、世界を解放する唯一の方法だと信じている。イギリス政府はアイルランド共和国のグループと対話することによって、非戦することができた。非暴力手段だ。「ゆるし」こそ、平和のカギである。北アイルランドが、一つのモデルとなることができた。憲章の精神は、協力しようと呼びかけている。このビジョンを実現することは可能だ。ぜひ、実現してほしい。

コーラ・ワイス Cora Waiss
アメリカ、ハーグ平和アピール、国際平和ビューロ(IPB)

コーラ・ワイスさん

“www”を“world wide web”ではなく“world wthout war”にしまよう。(拍手!!!) コスタリカの法学部の学生が、たった一人で政府に立ち向かい、軍隊を出すことは法律に反すると訴え、勝利した。そもそもの9条を守るために、国連憲章を支持するため、わたしたちはここに集まった。輸送船を出すことも、戦争に加担していることになる。戦争は破壊以外のなにものでもない。破壊は、環境を壊す。何代にもわたって人を傷つける。

戦争を、なくそう。

開戦を決定するとき、必ず女性は話し合いのテーブルにはいない。しかし被害を受けるのは女性である。人類に決定にかかわる大きな決定には、必ず女性を入れるようにと言っている。

戦争をなくそう。

戦争は、経済と開発の問題である。アメリカはアフガニスタンとイラクでの戦争にすでに3兆ドルを費やした。戦争にではなく、保健医療費に使いたい。

戦争をなくしましょう。

戦争は、若者の状態です。たくさんの若者が戦争に駆り出されている。仕事を覚えたばかりの若者が、結婚したばかりの若者が戦っている。

戦争を、なくしましょう。

行動計画を立て、みんなで9条の大使になろう。“Nor more war”不戦条項を入れた条件を作ってもらおう。軍事大国から平和大国へと変わろう。

 
日本からのスピーカー

池田香代子……日本、「9条世界会議」日本実行委員会共同代表

池田香代子

きを止められないわたしたちは、世界のみなさんに申し訳ない思いだ。先日、3265人の市民が、4年かかって勝ち取った名古屋高裁の判決の価値は大きい。(拍手!!)

 

土屋公献……元日本弁護士連合会会長

恒久平和に前進する21世紀にしたいという強い望みがある。軍隊を持たない国が、かつては7カ国だったが、20世紀後半には30カ国となった。日本は軍隊は持たない。しかし、立派な軍隊がある。誇るべきか、いや、誇るべきではない。日本はおこがましくも、9条を守ろうと世界に呼びかける。いや、日本は世界に堂々と呼びかけるべきだ。米国の世界戦略にとって、日本の弓形の国は利用しやすい国であり、日本の軍隊はもっとも協力すべきものととられているのだ。

 
ビデオメッセージ:

2人の方から、ビデオによるメッセージをいただきました。

ワンガリ・マータイさん(ケニア、グリーンベルト運動・2004年ノーベル平和賞受賞)と、ジョディ・ウィリアムズさん(アメリカ、地雷禁止国際キャンペーン、1997年ノーベル平和賞受賞)から、ビデオメッセージが届きました。

ワンガリ・マータイさん ジョディ・ウィリアムズさん
ワンガリ・マータイさん ジョディ・ウィリアムズさん

 
合唱

1部のしめくくりとして、2つの合唱が披露されました。

「ねがい」 Our Wish

この曲は、2002年に、広島市立大州中学校3年生の平和の一言のメッセージが土台となって作られたもので、その後この歌は世界に広がり、30カ国、36の言語に翻訳されています。池辺晋一郎氏の指揮で歌われました。

ベートーベンの交響曲第9番から「歓喜の歌」

合唱は、市民と弁護士からなる合唱団で、4人のソリストの中のテノールは、「オペラ歌手になりたかった」という弁護士さんで、プロの間で朗々と気持ちよく歌っていました。演奏は、東京ニューシティー管弦楽団、指揮は内藤彰氏でした。

ねがい 歓喜の歌
「ねがい」 「歓喜の歌」

いろいろな立場の人が、いろいろなかたちで、9条を守ろう、戦争のない世界を作ろうと訴えているのだなということが伝わってくるステージでした。力強い歌声に、会場は平和への希求を強くしました。

東京での会議の期間中、ロビーなどでは9条にかかわるグッズなどが販売されました。主催者側からは、「9条世界会議」のオリジナルグッズの缶バッジ、Tシャツ、ポストカードセット、お茶、そして、ロゴマークを描いた成瀬政氏のイラストから生まれた公式絵本『イマジン9』、が販売されていました。また、国際会議場に設けられたブース会場では、120以上のさまざまな団体の展示や、書籍・グッズ・ビデオなどの販売が行われました。情報交換したり、語り合ったりして、メイン会場と違った連帯と交わりが行われていました。

グッズ販売 グッズ販売

ブース会場 ブース会場

公式DVDが販売されます。
「そんなすばらしい会議に参加できなくて、残念!! どのような内容だったか、知りたい!」という方のために、会議の様子を収録したDVDも準備されています。“いいとこ取り”のダイジェスト版で、60分に編集され7月上旬に発送されるそうです。マグワイアさんの基調講演も収録されているそうです。遠方の方、また時間が取れなかった方、ぜひ、DVDで会議の様子を味わってください。
お求めは、「9条世界会議」のサイトで。→ http://whynot9.jp

寄付のお願い:
5月6日の最終日に話があったそうですが、今回の会議のために、資金ぐりが苦しくなっているそうです。多くの方々にチケットを買っていただいたようですが、これだけの規模の全大会、分科会を開き、海外からの参加者もあれば、相当の費用もかかったことでしょう。
次回の会議につなげるためにも、みなさまのご協力をお願いいたします。
寄付の詳細は、「9条世界会議」のサイトをご覧ください。→ http://whynot9.jp

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