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ユスト高山右近 ~いま降りていく人へ~


『ユスト高山右近 ~いま降りていく人へ~』表紙


  • 著者:古巣 馨
  • 監修:カトリック司教協議会列聖列福特別委員会
  • 定価:本体700円+税
  • B6判 並製  205ページ
  • ISBN978-4-88626-568-5  C0216
  • 発行:ドン・ボスコ社

本書は、現在、列福調査中のユスト高山右近の伝記ですが、単なる聖人伝とは趣を異にしています。

 聖パウロは、イエス・キリストを紹介するとき、「神の身分でありながら、神と等しい者であることを固執しようとは思わず、かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした」(フィリピ 2.6-8)とキリスト賛歌で示しています。

 本書は、サブタイトル「いま、降りていく人へ」が示しているように、へりくだって、このキリストに倣い、生きた高山右近を描いています。

 信長、秀吉の乱世の時代に生を受け、1564年6月に、ロレンソ修道士によって、10歳の右近(当時は彦五郎)は、ユストという洗礼名をいただき、洗礼を受けました。

 1573年、高槻城主・和田惟長が、彼の家臣であった高山父子の人望の厚さに危機を感じ、右近暗殺を企て、ついには一騎打ちとなり、右近から傷を受けた惟長は、それがもとで死んでしまいました。この事件によって、右近も瀕死の傷を負うのですが、それ以上に、心に深い傷を負い、苦しんでいる時に、神のもとから降られ、人となられたキリストに触れたことが、右近の生き方を変えさせるきっかけとなりました。

 高槻城主になった右近でしたが、その身分から、国替え、そしてキリシタンという信仰ゆえの追放、囚われの身、国外追放という生涯をたどりました。
 右近の生涯は、多くの宣教師たちが残した書簡の中に驚嘆をもって書かれています。
 右近が移り住む所には、教会が生まれ育ち、宣教師たちを支える右近の姿がありました。

 「教会の柱石」「伴天連の大旦那」と尊敬された右近でしたが、1614年11月8日、フィリピンのマニラに追放の身となり、12月11日マニラ港に着きました。当時、フィリピンを治めていたスペイン人のマニラ総督をはじめ、フィリピンの人々に右近の信仰はよく知られており、彼らは祝砲をもって右近を歓迎しました。

 しかし、病を抱えた上の過酷な船旅により衰弱した右近は、家族、内藤如庵、モレホン神父に看取られながら、1615年2月3日、その生涯を閉じました。63歳でした。日本から共に行動し、最後に右近を看取ったモレホン神父は、すぐに列福申請に向けて記録をまとめました。

 今も降りてゆく人々の先頭に立って歩かれるイエス、それに続く生き方に魅力を感じている人々は、本書に描かれた右近の姿に心打たれることでしょう。

 右近列福の動きが、本書によって加速されることを願っています。

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           『ユスト高山右近 ~いま降りていく人へ~』

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