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 私たちの幸せな時間

2007年7月

私たちの幸せな時間

  • 監督:ソン・ヘソン
  •   
  • 原作:コン・ジョン『私たちの幸せな時間』
              (蓮池薫:訳 新潮社刊)
  •   
  • 脚本:ジャン・ミンソク
  •   
  • 音楽:イ・ジェジン
  • 出演:カン・ドンウォン、イ・ナヨン
  • 配給:デスペラード

2006年 韓国映画 2時間4分


蓮池薫さんの10冊目の翻訳本で話題になった『私たちの幸せな時間』の映画化です。自殺をくり返すヒロイン、ユジョンを演じるイ・ナヨンが魅力的です。自然体に見えるのですが、心の微妙な苦しみをすばらしい演技で表現しています。

物語

生きる気力を無くし自殺をくり返す元歌手のユジョン。まとまったお金が欲しくて友達と3人を殺してしまった死刑囚のユンス。ある日ふたりは、死刑囚を訪問しているシスターのひきあわせで、刑務所の面会室で出会う。

親に捨てられ弟の手をとってホームレスとして辛い生活をしてきたユンスは、自分の子を妊娠した恋人に手術を受けさせるためにお金が必要だった。一方ユジョンは裕福な家に生まれ、何不自由のない暮らしだが、母親に対して反抗的で手首を切り、または睡眠薬を飲んで自殺をはかり、そのたびに兄に助けられていた。

私たちの幸せな時間

刑務所に面会に来たシスターに、自分はどうせ死ぬのだからもうかまわないでくれと抵抗するユンスの姿を見ながら、ユジョンは何か心にひっかかるものを感じた。そして、毎木曜日、ユンスに面会に行くようになる。やがてユンスも次第に心を開き、ふたりの間に会話がはじまっていく。お互いの辛い思いを話し、小さな喜びを見つけていくようになる。いつしかユンスは、ユジョンの訪問を楽しみにして待つようになる。ユンスは、この人のために“生きていたい”と思うようになる。

ユンスとの会話から、ユジョンも変わっていった。ユジョンの母が倒れ、すっかり弱ってしまった。反抗しながらも、母を心配するユジョン。彼女は、小さいころの辛い思いを、母に打ち明け「あなたを許す」と告げる。こうしてユジョンは、自分と向き合うことができた。

しかし……。

 

大なり小なり、どんな人も持っている心の傷。他者に対してやさしくなれたとき、自分の中にある傷に対しても、静かにそっと見つめながら癒していくことができる……、そんなやさしい、しかし人として大切な関係を、この映画は静かに教えてくれます。

ユンスとユジョンを偏見なく受け入れているユジョンの叔母であるシスターと、刑務所のイ主任のやさしさが、ふたりを外側から温かく包んでいます。だれかが自分を心配し思ってくれている、しかし、人はそれに気づかず、勝手に築き上げた塀の中で自分は独りだと思ってしまいがちです。他人のちょっとした温かい心に信頼できるような社会になれたらなと思います。


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