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私の薦めるこの一冊
ペトロ岐部カスイ
- 著者:五野井隆史
- 定価:本体1,900円+税
- B6判 並製 340ページ
- ISBN978-4-7642-6431-1 C0016
- 発行:教文館
本書は、1997年、大分県教育委員会が「大分県先哲叢書」の1冊として、著者が書き下ろし出版されたものが、今回再版されたものです。
今年11月24日にペトロ岐部と187人の殉教者が列福されますが、本書は、単なる読み物ではなく歴史書としてしっかりしたものが読みたい、と望んでおられる読者に満足感を与えるものです。
ペトロ岐部について書かれた専門的な歴史書といっても、決して堅苦しい本ではなく、彼が司祭になり人々に仕えたいという、燃えるような望みを胸に抱いて、その実現に向けて、着実に進んでいくその歩み自体がドラマティックなこともあり、ぐんぐん惹きつけられます。
ペトロ岐部の生まれたのは、1587年。フランシスコ・ザビエルが日本にきたてから38年後のことです。
1600年にイエズス会に入会し、マニラから、マカオ、インドのゴアから、バクダード、ダマスカスを経て1619年、エルサレム到着。翌年、ローマに到着し、1620年、念願の司祭叙階の恵みを受けました。彼が長崎を出発してから、5年の歳月が流れています。
しかし、1622年にはローマを発ち、迫害の激しさが増す日本に、1630年帰ってくることができました。1639年、東北地方で信者の司牧にあたっていたところを逮捕され、同年、江戸で殉教を遂げました。
ペトロ岐部の強い信念、実行力、深い信仰は、私たちの心を揺り動かします。
列福式の行われる前に、ぜひ目を通しておきたい本の1冊です。