home>キリスト教入門>カテキズムを読もう>第1編 信仰宣言>第1部>第7回 神の啓示の伝達 –(1)

カテキズムを読もう

バックナンバー

第7回 神の啓示の伝達 –(1)


第2章「人間を訪れる神」の第2項「神の啓示の伝達」に入りましょう。


第2項 神の啓示の伝達


神は、すべての人が真理であるイエス・キリストを知ることを望み、イエスをこの世に送り、イエスは神を信じる人々の共同体をたて、弟子たちの中から12使徒を選び、人々への救いの道を伝えようとなさいました。

イエス・キリストは、神と人類との唯一の仲介者なので、その啓示はすべての時代、すべての所に伝えられなければなりません。どのような方法で、それが、今生きている私たちに伝えられたのでしょうか。


1 使徒伝承

主イエス・キリストは、ご自分の伝える福音を受け入れる人々からなる、新しい神の民が誕生することを望まれました。ですから、イエスが公に人々の前で話されたその最初から、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」(マルコ1.15)とおっしゃって、宣教を開始なさいました。

イエスは、この福音をのべ伝えるために、12人を特別に選び、イエスの協力者、使徒として、教育されました。この「12」という数は、神が救おうと計画されたイスラエルの12部族に代わる、新しい神の民全員を象徴している数字です。イエスはご自分の受難と死、復活の後、福音を宣教する使命を、ペトロを頭とする使徒たちにゆだねられました。

復活後、イエスは、11人の弟子たちに「全世界に行き、すべての者に福音をのべ伝えなさい」(マルコ16.15)と言い残されました。マタイ福音書には、イエスのこの地上での最後の言葉として、「私は天においても地においても、すべての権能が与えられている。だから、あなたたちは行って、すべての国の人々を弟子にしなさい。父と子と聖霊のみ名に入れる洗礼を彼らに授け、わたしがあなたたちに命じたことを、すべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたたちとともにいるのである」(28.18~20)と弟子たちに言い残されたことが書き記されています。


使徒の宣教

イエスの直弟子たちは「12使徒」と呼ばれ、異邦人への宣教が委ねられた使徒パウロとともに、キリストの福音を受け継いだ正統な人々として、特別な権威を持っていました。 使徒たちは、イエスのご命令に従い、当時の世界の各地にでかけ、懸命に福音をのべ伝えました。こうして、教会の土台が築き上げられていったのです。

この福音をのべ伝えるために、使徒たちは2つの方法を用いました。

①口述で

使徒たちは、キリストから聞いたこと、自分たちがキリストと共に生活した間に目撃したこと、体験したことを、力強く人々に話しました。ある時は説教という形で、ある時は模範をもって、またある時は制度で、人々にキリストから伝えられた福音を宣教しました。

②書によって

聖霊の導きに従って、使徒たちやその他の人々が、初代教会の人々の要望に応えて、救いのよい知らせを福音書や手紙という形で伝えていきました。これが、今、私たちには聖書という形で伝えられています。


使徒の後継者によって続けられる宣教

啓示は、使徒たちで終わりました。使徒たちは、キリストから伝えられた福音が、教会の中に正しく保存されるように、司教たちを後継者として立てました。それは、使徒としての宣教が、キリストのご命令どおり、世の終わりまで続けられるためでした。

使徒たちの指導を受けられなくなった教会は、使徒たちから伝えられた「信仰の遺産」を大切にし、それを最高の規範と考え、その教えを保つように努めました。新約聖書の中には、この「信仰の遺産」を、「受けたもの」「教え」「健全な教え」「真理」「ゆだねられたもの」などという言葉で表しています。このように、使徒たちから司教たちへ、代々伝えられていく生きた伝承は、「聖伝」と呼ばれています。

聖伝は、聖書と密接な関係がありますが、聖書とは異なるものです。教会は信じることのすべてを、聖なる伝承として、キリスト教の教義と生活と典礼において、正しく、完全に、あらゆる時代、すべての所へ伝えていくことができるのです。教会が伝える聖なる伝承の主体はさまざまで、その形態もさまざまですが、教会が何を伝えてきたかをひと言で表すならば、最終的には、神のみことばであるイエス・キリストそのものを伝えてきたのだと言えます。

本書79番で述べられているように、「こうして、御父がみことばによって、聖霊のうちに、ご自分についてお知らせになったことは、教会の中に現存し、働き続け」ているのです。

次回は、聖伝と聖書の関係について見ていきましょう。

前へ 

▲ページのトップへ