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第78回 堅信の秘跡

今回から堅信の秘跡についてです。この大切な秘跡について、ご一緒に考えてみたいと思います。


第2項 堅信の秘跡


堅信の秘跡は、キリスト教に入るために、必要欠くべからざる秘跡・「入信の秘跡」の1つです。入信の秘跡は、洗礼、堅信、聖体の3つの秘跡を指しています。


1 救いの営みにおける堅信

旧約時代の預言者たちは、救い主であるメシアが来られる時には、メシアの上に主の霊がとどまると預言をしていました。この預言は、イエスが洗礼者ヨハネから洗礼を受けられた時に、実現しました。イエスがヨルダン川で洗礼を受けた時、天が開け、聖霊がハトのような姿で、イエスに降りました。救い主としての使命を父なる神から受け、子としてイエスは聖霊との完全な交わりのなかで、生涯をかけて、イエスはその使命をまっとうされました。


聖霊がイエスに充満したということは、ただイエスだけにとどまらず、救い主メシアであるイエスに属する私たち、すべての神の民にも与えられるものです。キリストは、まず、復活の日に聖霊の約束をしてくださいましたが、特に、聖霊降臨の日に目に見える形でそれが実現されました。


使徒たちは、聖霊を注いでくださったキリストの意向にそって、洗礼の恵みを完成するものとして、按手によって、聖霊のたまものを授けました。この聖霊のたまものを与える按手が、堅信の秘跡の起源です。


聖霊のたまものを授けることを、もっとよく表すために、初代教会から、香油の塗油が儀式の中で行われるようになりました。この塗油は、「キリスト者」という言葉が、「油を注がれた者」という意味をもっていることと深いかかわりがあります。「キリスト」という言葉は、ヘブライ語で「メシア(救い主)」という語のギリシア語です。この意味は「油を注がれた者」という意味です。ですから、洗礼を受け、堅信の秘跡を受けることによって、信者はさらにキリストにしっかりと結ばれていくのです。


塗油の儀式は、東方教会では「聖香油の注ぎ」とか「ミュロン(香油)」と呼んでいます。一方、日本などが属している西方教会では、これを「堅信」と言っています。それは、洗礼の恵みをより強化するからです。



東方教会と西方教会の二つの伝承

最初の数世紀間、洗礼と堅信は一緒に授けられていました。しかし、キリスト教が公認されてからの時代は、幼児洗礼も増え、教会の数も増えたため、1人の司教が洗礼と堅信を授けることが不可能な事態になりました。そこで、この一対のように行われていた2つの秘跡を、別々に行うようになったのです。東方教会では、その2つの秘跡を今でも1つの儀式の中で行っています。こうすることによって、キリスト教入信の一体性を強調しています。


カトリック教会は、洗礼と堅信という2つの秘跡を分けて行うことになったのですが、それは司教と新信者とのつながりを表すものであり、教会がキリストから使徒ペトロに委ねられた使徒的教会であるということを示すものです。

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