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杯 (cup)

杯

杯は、本来お酒を盛って飲むための器ですが、同時に飲み物の量を計る役目もしていました。
 聖書では、“杯”という語は、交わり、怒り、救いなどを象徴的にあらわすために用いられています。

食事のときには、会食者たちが杯を回して飲む習慣がありました。そこから、杯が、人間相互の交わりの象徴として用いられるようになりました。

すべての人は神の食卓に招かれています。ですから、そこで差し出される杯は神との「契約」を結ぶ交わりの象徴とされます。

しかし、人は神よりも偶像を拝み、神が差し出される杯よりも、悪霊の杯を好んで、悪霊と交わることもあります。これは神の怒りをかうことになります。

杯に盛られたぶどう酒は、人の心をよろこばせます。しかし、飲み過ぎると酔いは、わざわい、醜態をもたらします。そこから杯がもたらす酔いは、神が不信仰者に報いる罰を意味し、主の「憤りの杯」(イザヤ 51.17)を飲むことにもなります。

すでに旧約時代にささげられていた償いのいけにえは、杯の中に入れられた動物の血を、祭壇とイスラエルの民の上に注ぐことによって行われました。こうして清められた民と神の間に契約の更新が行われました(出エジプト 24.6~8)。このような儀式は、神と民との契約の更新であり、自らの血をささげて完全に罪を清められたイエスの、永遠の契約をかたどるものです。
 ですから、イエス・キリストは「新しい契約」と言っておられます。

  杯を取り、感謝の祈りを唱え、彼らに渡して言われた。
  「皆、この杯から飲みなさい。
  これは、罪が赦されるように、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である」。
              (マタイ 26.27~28)
  食事を終えてから、杯も同じようにして言われた。
  「この杯は、あなたがたのために流される、わたしの血による新しい契約である」。
              (ルカ 22.20)

キリスト者は、ミサで、この契約を新にし、主が残してくださったパンを食べ、杯を飲むたびごとに、主の死と復活を告げ知らせます。

ミサで使う杯は、「カリス」というラテン語の言葉で呼んでいます。


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