home>シスターのお薦め>お薦めシネマ>星に願いを。

お薦めシネマ

バックナンバー

 星に願いを。

2003年4月

星に願いを。

  • 監督:冨樫 森
  • 脚本:森らいみ、冬月カヲル
  • 音楽:野澤孝智
  • 出演:竹内結子、吉沢 悠、國村 準、牧瀬里穂

2002年 日本映画 106分


「ふたりの渾身の姿をスクリーンに見に来てください。胸がキューッとなるような、そんな時間を過ごしてもらえたら嬉しい」と、監督がコメントしていますが、そのとおり、泣ける映画です。さらに、映画を見ている人が若いカップルだったら……。ふたりは、自然と手をにぎりあい、主人公たちの思いに自分たちを重ねて、その恋にうっとりとしてしまうでしょう……、そんなロマンチックな映画です。

物語

北海道・函館に住む笙吾(ショウゴ、吉沢 悠)は、今日も白杖をついて路面電車に乗り、病院の検査にやってきた。彼は3年前交通事故にあい、視力と声を失ったのだ。今では、白杖さえあればどこにでも行ける笙吾だが、事故の直後は大変だった。

運びこまれた病院で、看護師・奏(カナ、竹内結子)の必死の心臓マッサージによって命をとりとめたが、意識が戻って自分の状態を知った笙吾は、白紙にマジックで「死んだほうがよかった」と書いた。その文字を見た奏は、重傷の笙吾をたたいた。「みな必死になって、あなたの命を救ったのよ!」 

心を閉ざしていた笙吾だったが、親身に面倒をみてくれる奏の声援に応えようと、辛いリハビリに耐えた。

奏は、口先だけで笙吾を励ましたのではなかった。リハビリにつきあい、「がんばっている?」と言葉をかけ、笙吾ののびた髪も切ってあげた。姉が弟の面倒をみるように、奏は笙吾を助けていた。そんな奏に笙吾は恋心を感じていたが、奏は患者の一人として接しているつもりだった。しかし、同僚には、奏にとって、笙吾は心をゆるしている存在であるとわかっていた。また、笙吾が奏に好意を持っていることも知っていた。

笙吾の検査の結果、アメリカに行って手術を受ければ、治る可能性が見えてきた。しかし、そのためには巨額の費用が必要で、今の状況ではあきらめるより他なかった。

ある夜、二人は港で時を過ごしていた。笙吾の吹くハーモニカを聞いていた奏は、病院をやめてアメリカへ行って看護の勉強をしたい、そのために、お金を貯めるんだと話した。

分かれる時、「大丈夫? 一人で帰れる?」と心配する奏に、笙吾は「大丈夫!」と答える。奏が立ちさった後、笙吾は海の風に吹かれながら、奏と過ごした時間の余韻を味わっていた。しかし、手からすべり落ちたハーモニカを探して、笙吾は車の行き交う車道に出ていた。そこへトラックが……。はね飛ばされた笙吾は、救急車で病院に運ばれるが、奏の目の前で、帰らぬ人となった。

笙吾が目を開けると、そこは毎日乗っている路面電車の中だった。体には傷がなく、目も見えて、話すこともできるようになっていた。流星の力によって、数日の間だけ、生命を与えられたのだ。しかし、まったくの別人として……。つまり、彼を見ても、だれも笙吾だと分からないのだ。期限は、次の流星があらわれるまで。しかし、だれかに笙吾だと気づかれたら、永遠にこの世界からは消えてしまう。

限られた命をもらった笙吾は、アメリカで勉強するためにお金がほしいと話していた奏のために、自分の生命保険の受取人を彼女にすることを思いつく。保険のセールスマンとして奏に近づく。笙吾が死んだショックから立ち直れない奏は、仕事に身が入らず、勤務を休んでいた。

悲しみから立ち直れない奏に、受け取り人になることをなんとか承諾してもらおうと、セールスマンの笙吾はしつこく迫る。しかし、受け取る理由がないと奏は断る。どうして自分の思いが通じないのかと、笙吾は苦しむ。

ある日、セールスマンの笙吾は、生前の笙吾がいかに奏のことを思っていたかを伝えるため、笙吾の日記を奏に読んで聞かせる。日記を聞きながら、奏は笙吾との日々をなつかしく思い出していく。そして、笙吾が自分にとって、いかに大切な存在だったかに気づく。

しかし、お金の必要はもうなくなったのだと答える。アメリカで勉強したいということは口実で、実は、笙吾の目の手術のためにお金がほしかったのだ。

セールスマンを追い返した後、笙吾の存在の大きさを改めて感じていた奏は、セールスマンが残していった日記に目をとめる。1ページ目をめくると、そこには点字で日記が書かれていた。しかし、2ページ目、3ページ目……、ページは真っ白だった。他のすべてのページも、点字は打たれていなかった。奏は、あのセールスマンが笙吾だったと気づく。

「笙吾~!」奏は、必死で笙吾の後を追う。笙吾は奏と会えるのか……。

 

NHKの朝ドラの「あすか」で、芯のある菓子職人を演じた竹内結子。ドラマ「ガッコの先生」や「ランチの女王」、そして今放映中の「笑顔の法則」では、軽快なテンポでセリフをやり取りして、気持ちよかったですよね。この映画「星に願いを」でも、患者を勇気づける元気のいい看護師で、彼女のかわいらしさが魅力的です。

人を思うことのすばらしさと、はつらつとした元気を与えてくれる作品です。「ただ今恋愛中!」のカップルは必見です。ピュアな愛を育ててください。

▲ページのトップへ