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 再見

2003年11月

ツァイツェン また逢う日まで

再見

  • 監督・脚本:ユイ・チョン
  •   
  • 出演:ジジョ・リョン、ジャン・ウー、ツイ・ジェン
  •   
  • 音楽:ロアン・シュー

2001年 中国映画 95分

  • 2001年カステリナリア国際青年映画祭
         ゴールデン・キャッスル賞グランプリ受賞
  • 2002年モスクワ国際児童青少年映画祭
         ブロンズ・テディ・ベア特別賞受賞
  • 2001年上海国際映画祭コンペティション部門正式出品

まじめな音楽教師の父、体が弱いけれど夫を理解し、子どもたちをやさしく見守る母、仲良しの4人兄弟姉妹、貧しいけれど温かい家庭で育った4人の子どもたちが、突然の両親の死によって、引き裂かれます。

映画は、大人になった長女スーティエンの語りで、現在の4人の様子と、子どものころの回想が折り重なって進んでいきます。

物語

アメリカで育った期待の若手・女性指揮者チー・スーティエン(ジジョ・リョン)が、20年ぶりに中国へやってきた。帰国を記念したコンサートが計画されており、スーティエンは、マスコミに取り上げられて話題の人となっていた。今回のスーティエンの帰国には、もう一つの目的があった。小さいときに別れたまま行方が分からなくなっている兄や妹弟を探し出し、再会することだ。

再見

中国の東北部の小さな村。両親と、男2人女2人の兄弟姉妹が、慎ましく暮らしていた。父は小学校の音楽教師をしているが、何かの過ちをおかしてこの村にやってきたようだ。母はそんな父を、温かく支えている。

夕方、みんなが家に集まると、そこは楽しい音楽会場になる。母とスーティエンが夕食の準備をしている間、父はアコーディオンを奏で、兄のイクーは指揮をし、弟のテェエンや小さな妹のミャオは食器をたたいて音を出し、家族がみんなで歌う。貧しい生活だったが、一家は、楽しく幸せに暮らしていた。

再見

ある日、一家は、写真館にいって家族の記念写真を撮った。家族の写真は額に入れ、部屋に飾られた。

しかし、突然の不幸が訪れた。思想と出身のことが問題となり、父は小学校を辞めさせられてしまう。さらに、母が結核になり、喀血した。母に失業したことを黙っている父、父に病気の事を隠す母、互いを思いやってのことだが、母の病気は悪くなり、父の知るところとなった。夜の大雪の中を、咳き込む母を、父は病院へつれて行くことになった。父はイクーに、「みんなを頼む」と言い残して。

翌朝、両親の帰りを待っていた4人に、悲しい知らせが届く。2人を乗せた馬車がすべって崖に落ち、亡くなったというのだ。

兄弟4人の悲しい歩みがはじまる。おじの家にひきとられるが、そこも貧しい農家で、子どもの多い中で食べることも大変だった。4人は、おじの家をそっと出た。しかし兄弟に行くあてはない。兄は、父から言われた言葉を守って4人で生きようとするが、どうすることもできない。

「大きくなったら一緒になれる!」兄は決心し、家族で撮った写真を一人ひとりに渡した。小さな妹のミャオは老夫婦に預けた。弟のテェエンは、若い夫婦が引き取ってくれた。そして、スーティエンの番が来た。アメリカに移住するために、今家を出ようとしている夫婦に、兄は土下座しお金を渡して、一緒に連れていってくれと頼んだ。

兄は一人になると、涙を流しながら走った。こうして、仲良しの兄弟は離ればなれになってしまった。

指揮者になったスーティエンは、テレビに出て兄弟たちを探していることを公表した。意外にも、兄のイクーはスーティエンのすぐ側にいた。イクーは、新聞を見て話題の女性指揮者が妹であることを知ったが、荒れた生活をしていて、立派になった妹の前に、名乗ることはできないでいた。そして、テェエンやミャオの生活も……。

 

お兄ちゃんがどんなにがんばっても、妹たちがどんなにお兄ちゃんを慕っても、子どもたち4人だけで暮らすことはできないのです。悔しく思います。子どもは親の保護がないと生きてはいけないんだと、子どもの立場の弱さと、親の存在の大切さを感じました。

成功した姉と、希望を持てずに暮らしている兄弟たち。あまりにも境遇が違ってしまった4人。名乗りを上げることは勇気が必要です。しかし、イクーが一人ひとりに持たせてくれた家族の記念写真が、小さかったころの家族を思い出させます。一人ひとり、別れていく子どもたちや兄のイクーの姿に、涙がとまりません。

また、自分たちの生活が貧しいにもかかわらず、兄弟一人ひとりを引き取ってくれる人たちを見ながら、日本の中国残留孤児たちを育ててくれた中国の人たちを思い出しました。

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