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 きみに読む物語

2005年2月

TEH NOTEBOOK

きみに読む物語

  • 監督:ニック・カサヴェテス
  • 原作:ニコラス・スパークス『君に読む物語』(アーティスト・ハウス刊)
  • 脚本:ジェレミー・レヴィン、ジャン・サルディ
  • 作曲:アーロン・ジグマン
  • 出演:ライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムス、ジーナ・ローランズ、
       ジェームズ・ガーナー、サム・シェパード、ジョアン・アレン

2004年 アメリカ映画 123分


純愛物語、生涯をとおしての夫婦愛の物語です。「愛する人を大切にする」ということの切なさが、ひしひしと伝わってきます。上映会場では、いくにんかの男性が涙をふいていました。人の心は、愛の中で癒されていきます。米国では、あの「マディソン郡の橋」の記録を超えたとか。主人公の“愛”する姿は、見る人の心の中にある愛にも、火をつけてくれるようです。

物語

ある診療施設に、初老の女性(ジーナ・ローランズ)がいた。彼女は美しく、身なりもきちんとしていたが、過去を思い出せない病気のために心を閉ざしていた。そこへ初老の男性が近づいてきて声をかけた。デューク(ジェームズ・ガーナー)と名乗るその男性の訪問に、最初彼女はとまどっていた。ある日、デュークは、彼女に一つの物語を語りはじめた。彼女は、しだいにその物語にひかれていき、話の続きを聞くために、デュークの訪問をまちわびるようになっていった。それは、ある男女のひたむきな愛の物語だった。

物語の舞台は、1940年、ノース・カロライナ州シーブルック。材木工場で働くノア(ライアン・ゴズリング)は、父親(サム・シェパード)とふたり暮らしだ。ノアはカーニバルの夜、友達と楽しそうにはしゃいでいる若い女性(レイチェル・マクアダムス)を見かけ、一目惚れしてしまう。彼女の名はアリー・ハミルトン。大都市チャールストンの良家の娘で、大学に通っており、夏休みを家族と過ごすためにシーブルックにやってきていたのだ。ノアは積極的にアリーに声をかける。アリーは最初、相手にしなかったが、自分の周囲にはいないタイプのノアに、次第にひかれはじめていく。

ある夜、ノアは、郊外にある廃屋にアリーを連れて行き、1772年に建てられたこの家を改造することが自分の夢だと語る。アリーは、絵を描くことが好きで、ここにアトリエを作ってほしいとノアに頼み、ふたりは将来を誓いあう。しかし、身分の違うノアとアリーの交際は、長くは続かなかった。ノアの父親は2人を暖かく見守っていたが、アリーの両親は交際を認めず、アリーはチャールストンへと帰されてしまう。

夏が終わり、アリーは大学へ、ノアは勃発した第2次世界大戦の戦地へと向かった。ノアは毎日、毎日、アリーに愛の手紙を書いた。しかし、その手紙は、アリーの母親(ジョアン・アレン)によって妨害され、アリーの元には届かなかった。

やがてアリーは、裕福な弁護士との縁談が決まった。結婚式が近づいたある日、アリーは新聞の中のひとつの写真に目をとめる。そこには、きれいに改築されたあの家の前に立つノアの姿があった。かつてのノアとの愛の日々を思い出したアリーは、心のけりをつけるためと婚約者に説明し、2、3日で戻ることを約束して、シーブルックへと出発する。再び出会ったノアとアリー。

しかし、アリーの居場所を見つけたアリーの母親と婚約者が、彼女を迎えにくる。帰ろうとするアリーにノアは尋ねる。「君はどうしたいのか?」アリーは、「どっちにしてもだれかを傷つける」と答える。もう一度「君はどうしたいのか?」と聞くノアに、「行くわ」と答える。

アリーの母親は、アリーを車に乗せて帰る途中、材木工場に立ち寄る。彼女は、そこで働く中年の男性を、隠れるように遠くから見つめる。母親は若いころ、その男性と恋に落ちたのだが、身分の違いから結婚をあきらめたのだった。しかし、今も時々、隠れて彼を見に来るという。母親は涙を流しながらも、「パパを愛しているわ」と自分を納得させるように言うのだった。そして、ノアから送られ続けた手紙の束をアリーに渡し、「あなたが選びなさい」と言う。

物語を聞いていた初老の女性は、「それで、彼女はどちらを選んだの?」と、デュークに尋ねる。ふたりが座っているベンチに、デュークの娘と孫たちが近づいてきた。デュークは、彼らを初老の女性に紹介する。初老の女性は、「はじめまして。かわいい子ね」とあいさつし、自分の部屋へと戻っていく。彼女を見送りながら、娘が言う。「パパ、もう帰ったら。ママはもう、戻らないわ。」

 

ノアとつきあっているときのアリーが、とてもきれいですてきです。生きている喜び、人を愛し愛されている喜びが、満ちあふれています。若いときの燃えるような愛と対照的に、年老いてからの愛、相手を優しく包み込む愛が描かれていきます。「彼女が、あのときの愛を思い出したそのとき、きっと奇跡がおきる」「たとえわずかな時間であっても、彼女を連れ戻す!」という信念で、デュークは、2人の愛の物語を語り続けているのでした。果たして奇跡は起きるのでしょうか。

アルツハイマー病の妻を、静かに愛し続ける「永遠の愛」の感動を、美しい自然とともに、ぜひ、ご覧ください。

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