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 記憶の棘

2006年9月

Birth

記憶の棘

  • 監督:ジョナサン・グレイザー
  • 共同脚本:ジャン=クロード・カリエール、マイロ・アディカ
  • 出演:ニコール・キッドマン、キャメロン・ブライト、ダニー・ヒューストン
  • 音楽:ジェイク・シマブクロ
  • 配給:東芝エンタテインメント

2006年 アメリカ映画 1時間40分


「記憶の棘」の映像が流れ、最初にニコール・キッドマンの姿が出たとき、「すごい!」と思いました。その驚きは、「めぐりあう時間たち」で、やはり最初にニコール・キッドマンが登場したときの感激と同じでした。まだまだ物語の入り口なのですが、どちらの作品も、ニコール・キッドマンの変身ぶりがみごとで、役作りにかける彼女の情熱のようなものが伝わってきました。「やはりニコール・キッドマンはすごい役者だ!」と思ってしまったのです。

ショートヘアになったニコールが演じる主人公アナは、とってもきれいでカッコイイ女性です。身軽で快活そうに見えるその姿とは反対に、最愛の夫ショーンを突然失ったことから立ち直ることができず、10年も経っているのに心に傷をかかえたまま、苦しい日々を過ごしていました。ショーンは、朝のジョギング中に、心臓発作を起こし亡くなったのでした。

いつまでもこんな状態ではいけないと、以前からアナを思い続け支えてくれているジョゼフ(ダニー・ヒューストン)の愛に応え、彼との結婚を決意しました。

記憶の棘

ジョゼフと婚約したアナが家族たちと、母親の誕生祝いをしているところへ、10歳の少年(キャメロン・ブライト)が現れ、アナにこう言いました。「ぼくはショーン。君の夫だ。」アナもアナの家族も、最初は子どものいたずらと相手にしませんでした。しかし、たびたび現れる少年の言葉には、アナと夫しか知らない事実が含まれていたのです。少年の、アナを見つめる目には深い愛情が込められており、アナは次第に、この少年にひかれていくようになります。そして、少年が夫の生まれ代わりではないかと信じるようになるのです。

アナの家族や夫の友人が、少年を調べはじめます。すると、アナの知らなかった夫の事実が出てきたのです。この少年は、夫ショーンの生まれ変わりなのでしょうか。

 

サスペンスなのか、サイコロジーの映画なのか、いろいろな反応が出そうな作品です。映画を見たあとで、感じることを話し合ったらとてもおもしろいだろうと思いました。

この少年が、果たして本当にアナの愛する夫ショーンの生まれ変わりなのかどうかは、わかりません。(カトリックには輪廻思想はないので、これは受け入れられませんが……)しかし、これだけは言えると思います。アナは、まだ夫を愛しているのです。アナの中で、夫への愛情は断ち切られていません。そのようなとき、他の人との結婚を急ぐ必要があるのでしょうか。もっと、自分の心を見つめることが大切なのではないでしょうか。アナを見ながら、“人生の選択”というものを見つめてみてはいかがでしょう。

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