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 パッチギ –LOVE & PEACE–

2007年5月

All's Well That ends Well

パッチギ

  • 監督:井筒和幸
  •   
  • 共同脚本:羽原大介
  •   
  • 音楽:加藤和彦
  •   
  • 出演:井坂俊哉、藤井隆、中村ゆり、今井悠貴、西島秀俊、
        キムラ緑子、ソン・チャンウィ、風間杜夫
  • 配給:シネカノン

2007年 日本映画 127分


「パッチギ」(韓国語)とは、「1)人やボールなどを頭で突くこと、ヘディング」それから転じて「2)困難などを乗り越えること」となっています。高校生の若いエネルギーが爆発し話題となった井筒監督の「パッチギ」が帰ってきました。前作では1968年の京都の朝鮮学校を中心にして、国境を越えた友情と恋愛を描きました。今回の「パッチギ –LOVE & PEACE–」では1974年の東京に舞台を移し、アンソンとキョンジャ兄妹のその後を描きます。

「パッチギ」の1)の意味である闘争シーンは、前作よりだいぶ減りました。「LOVE & PEACE」では、2)の意味の「困難を乗り越えていく」姿が、共感を持って描かれています。

物語

息子を難病から守るため、アンソン(井坂俊哉)は京都から東京に家族とともにやって来た。江東区枝川。ここで叔父(風間杜夫)夫婦がやっているサンダル工場を手伝いながら、息子チャンス(今井悠貴)の治療先の病院を探していた。叔父と仕事で出かけた帰り、駅のホームで電車を待っていたアンソンは、京都時代のライバルと出会い、大げんかとなる。そこで、国鉄職員の佐藤と知り合う。この事件がもとで、国鉄から解雇された佐藤(藤井隆)は、アンソンたちとともに暮らすようになる。

アンソンの妹キョンジャ(中村ゆり)は近くの食堂で働いていたが、お店のお客から声をかけられ、芸能界には入らないかと誘われる。在日の狭い世界から出て行きたい、甥のチャンスのためにお金を稼ぎたいと思ったキョンジャは、芸能界で働こうと決心し、会社から言われるままに、本名を隠してこの道で生きていこうとする。しかし、役を勝ち取り新人女優として売り出していくためには、プロデューサーの要求に応じ、自分自身を偽っていかなくてはいけなかった。そんなキョンジャを、佐藤は心配しながら見守っていた。

 

第一作では、キョンジャ役の沢尻エリカの純真さが印象的でした。相変わらずやさしく、しかしちょっと強くなった「LOVE & PEACE」のキョンジャは、中村ゆりが演じます。映画を見終わった後も、彼女のひたむきな笑顔がこちらの顔にも残って、キョンジャを身近に感じました。自分がどんなにがんばっても変えることができないことがあります。しかし、将来の道を開くために本当の自分を隠して生きていても、それはどこか苦しいものがあります。やはり自分は自分として生きたい、そんなキョンジャの心がすがすがしさを与えてくれます。親戚が、地域の仲間が助け合って生きていく、そんな暖かさがアンソンとキョンジャの回りには残っています。そんなみんなの愛をもらって生きるアンソン。親から子へとつながっていく命、互いを思いやる友情、人間の温かさをたっぷりもらいました。


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