home>シスターのお薦め>お薦めシネマ>トゥヤーの結婚

お薦めシネマ

バックナンバー

 トゥヤーの結婚

2008年2月

Tuya's Marriage

トゥヤーの結婚

  • 監督:ワン・チュアンアン(王全安)
  • 原題:「図雅的婚事」
  • 脚本:ルー・ウェイ
  • 撮影:ルッツ・ライテマイヤー
  • 出演:ユー・ナン(余男)、バータル、センゲー
  • 配給:ワコー+グアパ・グアポ

2006年 中国映画 96分

  • 第57回ベルリン国際映画祭《金熊賞》グランプリ受賞

九州にある小さな島の高校の、陸上部の駅伝合宿を中心に描かれている、コミックから生まれた映画です。

「白い馬の季節」に続いて、中国内モンゴル自治区の草原に住む夫婦の物語です。たくましく愛情深い女性が、生きていくために離婚し、しかし、離婚した夫を連れて再婚します。こんな発想が、世の中通じるのかしら??? と思うのですが、これが実現してしまうのです。しかし、じっさいに希望が実現すると涙がこぼれる……。愛する夫を一人にさせないための、なんとも苦しい選択です。トゥヤーの再婚相手も、トゥヤーの家族への愛ゆえの決意でした。彼らの優しい心が伝わってきます。

物語

中国の内モンゴル自治区。遊牧民の生活の場である牧草地は砂漠化が進み、井戸の水も涸れてしまった。トゥヤー(ユー・ナン)の夫バータル(バータル)は、井戸を掘るために仕掛けた爆薬の事故で、下半身が付随になっていた。トゥヤーは、2人の幼い子どもを育てながら、夫に変わって働いていた。雨は少なくなり、水を求めて10キロ以上も歩かなければならなかった。家畜も水が足りず死んでいった。トゥヤーは、妻の家出を嘆いて飲んだくれ、砂漠の中で倒れてしまった近所のセンゲー(センゲー)を親身になって介抱するような面倒見のよい女性だったが、水汲みや遊牧のきつさから腰を痛めてしまった。息子が水汲みに行くが、トゥヤーを支えるには幼かった。

トゥヤーの結婚

疲れがたまっていくトゥヤーを心配した夫のバータルは、トゥヤーのために離婚話を持ちかける。自分は姉のところへ行くと話すが、トゥヤーにはそれは無理なことだと分かっていた。

トゥヤーは離婚を決心し、裁判所は2人の離婚を認める。しかし、トゥヤーは離婚の条件として、再婚の相手は、子どもだけでなく、別れた夫のバータルをも一緒に養ってくれる人であることを出す。さっそく数人の男性からの申し込みが出る。トゥヤーは、親族とともにやってきた彼らと会うが、彼らはトゥヤーの再婚条件を知って去っていった。

トゥヤーの結婚

そんな中に、学生時代からトゥヤーに好意を持っていたボロルがいた。金持ちのボロルは、町での生活と子どもによい教育を与えることを約束するが、バータルを受け入れることはできず、彼を施設へ入れてしまう。バータルを心配しながらも、トゥヤーはボロルの車に乗って去っていく。その夜、トゥヤーのもとに、バータルが自殺を図ったという知らせが入る。

 

 

トゥヤーを演じたユー・ナンは、国際女優とし活躍が期待されている中国の女優です。トゥヤーの夫を演じたバータルと再婚相手役のセンゲーはまったくの素人です。2人ともモンゴルの遊牧民で、監督に見いだされて映画作りに参加しました。

砂漠化は人々に移住を強いており、遊牧民の生活様式や伝統、文化が破壊されていきます。民族衣装や、家での生活の様子、結婚式のしきたりなど、消えようとしている彼らの生活を映像にとどめておくためにも貴重な映像となっています。

▲ページのトップへ