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 歩いても歩いても

2008年7月

歩いても歩いても

  • 監督・原作・脚本・編集:是枝裕和
  • 音楽:ゴンチチ
  • 出演:阿部寛、夏川結衣、YOU、樹木希林、原田芳雄、
       田中祥平
  • 配給:シネカノン

2008年 日本映画 114分

「幻の光」「ワンダフルライフ」「ディスタンス」「誰も知らない」「花よりもなお」と、日々の暮らしに寄り添った視線で人間を追い、生と死というテーマを込めている是枝裕和監督の作品です。シナリオにとらわれず、俳優の自然な反応を大切にしている是枝監督は、前回の「花よりもなお」では時代劇に挑戦し、そしてこの「歩いても歩いても」では、ホームドラマを表現しました。

夏休みの家族そろっての帰省。故郷では年老いた両親が久しぶりに会う孫たちの姿を楽しみにしており、おばあちゃんはうれしそうに料理を準備しています。そこへ、兄弟が家族を伴って集まり、肉親の懐かしさとともに、義理の関係の人との緊張感もあり、子どもたちははしゃいで騒ぎ……。「歩いても歩いても」は、お盆や法事でみなが集まってくる実家の独特な雰囲気を描きながら、命の継承を語っています。

物語

絵画修復の仕事をしている横山良多(阿部寛)は、ただいま失業中。次の仕事は、なかなか見つからない。良多は、夫を亡くし11歳の息子を持つゆかり(夏川結衣)と再婚したが、その子・あつし(田中祥平)は、良多のことを「良ちゃん」と呼んでいる。

良多は、ゆかりとあつしを連れ帰省する。良多の父・恭平(原田芳雄)は開業医だが、今は医院を閉め引退していた。職が決まっていない良多にとって、帰省は気が重い。

実家では、すでに姉・ちなみ(YOU)一家が帰っていて、ちなみは母・とし子(樹木希林)の料理を手伝っていた。恭平は、診察室にこもっていた。

良多は、とし子に土産を手渡すと仏壇に向かった。今日は、良多の兄・純平の命日なのだ。長男の純平は、医学部の学生だったとき、海で溺れた少年を助け、自らは命を落としてしまった。両親は、優秀で医院の跡を取るはずだった純平のことを、今でも残念に思っている。

純平の大好きだったトウモロコシのかき揚げができあがった。ちなみの夫と子どもたちも帰ってきて、恭平も診察室から出てきて、みなでかき揚げをほうばる。かき揚げは、純平の好物だった。

昼食がはじまる。ちなみの夫は自動車のセールスマンで、良多に車を薦めるが、運転免許を持っていない良多は気のない返事をする。とし子は「息子の車で買い物に行くのが夢だった」と言い、良多は「乗せてやるよ、そのうち」と見栄を張る。

午後、良多一家はとし子と墓参りに行く。帰ってくると純平に助けられた子が、線香を上げに来ていた。15年前の事故以来、その青年は毎年やってくる。太った体に汗をびっしょりかいている。帰りがけにとし子は、「また、来年も来てくださいね」と言う。大学を卒業し就職先が決まったという青年は、困ったような顔をして帰っていった。「あんなくだらんやつのために」と吐き捨てるように言う恭平に、「医者がそんなに偉いんですか」と良多は反発する。

翌朝、良多はあつしを連れ、恭平と散歩に出る。杖をついて石段を下りる恭平は、二人に追いつかない。良多は父を気遣い、携帯をかけるふりをして先に行かせる。

 

横山家をみながら、「どこも同じだね~」とちょっと切なくなったり、家族っていいなと思ったり……。なにげない会話の中に、本心が込められている……、そんな言葉のひとつひとつを味わいながら、自分の家族を見つめました。


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