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 ラストゲーム

2008年8月

~最後の早慶戦~

ラストゲーム

  • 監督:神山征二郎
  • 脚本:古田 求
  • 出演:柄本 明、石坂浩二、渡辺 大、柄本 佑、山本 圭、
       藤田まこと、富司純子
  • 配給:シネカノン A-line

2008年 日本映画 1時間36分

 

戦争が激しくなってきた1943年、野球は敵国アメリカのスポーツだからと、東京6大学リーグが中止されました。さらに、それまで徴兵を猶予されていた大学生たちにも徴兵がやってきました。戦局が厳しくなった今、若い命をみすみす死においやるようなものでした。「大好きな野球をやらせてあげたい」「思い出を作ってあげたい」「生きた証しを残してあげたい」。先生や親たちは、子どもたちのために早慶戦実現に向けて奮闘します。

物語

早稲田大学生の順次(渡辺大)は、陸軍に志願した兄・栄一が中国に出兵することになった。そんな兄を誇りに思う父・栄達(山本圭)から「兄は立派な軍人になったのに、お前はこの非常時に敵国の玉遊びか!」と叱責されていた。しかし優秀な野球部員だった兄は、「戦争はおれに任せて、お前は野球をしろ」と言って励ましてくれた。

1943年4月、六大学野球は解散を告げられた。しかし、早稲田大学野球部顧問の飛田穂州(柄本 明)は日本の野球を守るため、最後になっても野球部を守ろうと決意していた。

9月、学生への徴兵猶予が停止され、20歳を過ぎた学生全員に12月入営が告げられる。そこへ、慶應義塾大学の小泉信三塾長(石坂浩二)が飛田のもとを訪れる。「戦場へと駆り立てられる若者たちに生きた証しを残してあげたい。出征する前に早慶戦をやりたい」と告げた。「思い出を作ってあげたい」と思っていた飛田は、喜んで申し出を引き受けた。しかし、早稲田大学総長の田中穂積(藤田まこと)は、「強行すれば、文部省や軍の神経を逆なですることになる」と許可は下りなかった。慶応の学生たちは最後の時を親元で過ごすため、それぞれ故郷に帰っていった。「早慶戦が行われることになった、かならず知らせてくれ」という言葉を残して。

10月になっても早慶戦の許可は下りなかった。そんな中、栄一戦死の知らせが届く。弔問に訪れた飛田に向けて、栄達は「まだ野球をやっているのか」と非難する。「野球をやめて立派な軍人になれ」と順次に詰め寄る父に向かって、母・しず江(富司純子)は「死んでしまうかもれいないのだから、野球をやらせてあげてください」と泣きながら訴える。

 

1943年10月21日、出陣学徒壮行会のために明治神宮外苑に集まった25,000人の学生は、激しい雨の中を行進しました。将来の日本を担うはずの若者たちを、負けが分かっている戦地に送る。なんともいえない空しさを感じます。若い人々の命を無駄にしてはいけない。戦争はいけない。あらためて、思いました。

大事に大事に育ててきた我が子。大切な宝を戦地に送らなければならない親の苦しみを、山本圭と富司純子が、父親と母親のそれぞれの立場で熱演し、国家が国民に課したことの大きさをきわだたせています。青春をかけた早慶戦の実話から生まれた「ラストゲーム」を、ぜひご覧ください。


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