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 余 命

2009年2月

~君に届け、いのちへの想い~

余名

  • 監督:生野慈朗
  • 原作: 谷村志穂『〈余命』(新潮社刊)
  • 脚本:河原れん、生野慈朗
  • 出演:松雪泰子、椎名桔平、林道都、奥貫薫
  • 配給:S・D・P

2008年 日本映画 131分

 

結婚して10年目に、やっと授かったいのち。喜びに満たされているときに、乳がんの再発という事実をつきつけられた女性が、子どものいのち、自分のいのち、そして、自分がいなくなった後の夫の生き方を考え、悩み苦しみ、そしてひとつの大きな決断をしていく過程を描いた作品です。母親がどのような思いで妊娠を喜び、出産までの長い時を過ごすのか。親から受けたいのちについて思いました。

物語

38歳の百田滴(松雪泰子)は、外科医として大学病院で忙しい毎日を過ごしていた。10回目の結婚記念日に妊娠したことを知る。10年前に乳がんで右胸を切除していて半ばあきらめていた妊娠に、フリーカメラマンの夫・良介(椎名桔平)も喜んでくれた。滴の病気を知っている病院の医師仲間のきり子(奥貫薫)も、滴の妊娠を喜び応援してくれた。

幸せな日々を送っていた滴は、ある日、鏡に向かっていた自分の右胸に小さな赤い斑点があることに気づく。「まさか……」。病院の器具を使って調べた滴は、「炎症性再発」を確信する。治る見込みはない。

新しいいのちを身体に感じながら、滴は迷いの日々を送った。治療すれば子どものいのちはない。子どもを産めば、治療はできず死は早くやってくる。子どもを産んでも、死はまぬがれない。良介に打ち明ければ、出産をやめるよう言うだろう。どの道を選んでも、自分の手で子どもを育てることはできない。苦しい日々が続いた。

滴は休暇をとって亡くなった母のふるさと・奄美に向かった。美しい夕焼けの海を見て思った。「この美しい夕焼けを、子どもにも見せたい」

東京に戻った滴は病院を辞め、出産に供えた。そんなとき、仕事がなかった良介に、長期間のまとまった撮影の仕事が入ってきた。何も知らない夫の気楽さにいらだちを感じ、二人の間に気まずい空気が流れたまま、夫は遠い島へと撮影に出発した。

出産予定日より半月も前に、出産の兆候が見えた。良介に連絡がとれない滴は、気持ちが不安定なままひとりで出産を迎えた。

 

どうしてすべてをひとりで抱えて苦しむのか。もっと周囲の人に相談したり助けてもらう道もあったのに……と思うのですが、滴の姿が、孤独な子育てをしている母親の姿なのかもしれないと思いました。

母の願いを込めて生まれた子が、明るく生きている姿を見るといのちが与えられてよかった!! と思わず涙が出てしまいます。生まれてくる子へ母親の思いは、本当に尊いものだと思いました。


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