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 冬の小鳥

2010年9月

A BRAND NEW LIFE

冬の小鳥

  • 監督・脚本:ウニー・ルコント
  • 音楽:ジム・セール
  • 出演:キム・セロン、パク・ドヨン、コ・アソン
  • 配給:クレストインターナショナル
 

2009年 韓国・フランス映画 92分

  • 2009年東京国際映画祭<アジアの風部門>最優秀アジア映画賞
  • 2010年第1回アジア女性映画祭ネットワーク賞
  • 文部科学省特別選定(少年、青年、成人、家庭向き)
  • 青少年映画審議会推薦


 

物語

1975年のソウル。9歳のジニ(キム・セロン)は、父と二人で暮らしていた。生活は貧しいが、大好きな父がこぐ自転車に乗っているのが最高の幸せだった。ある日、父が大きなプレゼントをしてくれた。おしゃれな服にコート、さらにすてきな靴を買ってくれた。焼き肉屋で食事もした。そして大きなデコレーションケーキを持ってある大きな門の前に立った。二人が行ったのは、児童養護施設だった。父はケーキを置くと、ジニにあいさつもなく出ていった。何かおかしい。

何が起こったか理解できないジニは、施設の子どもたちと食事をするが、すぐにでも父が迎えに来てくれると信じていた。「きっと迎えに来てくれる」この思いがジニを支えていた。

施設にはシスターがいて、日曜日には教会へ行った。

父はやって来ない。まわりの女の子が説明しても、職員が説明しても、ジニの父を待つ祈るような思いは変わらなかった。そんな中、スッキ(パク・ドヨン)は忍耐強く接してくれた。やさしく世話をしてくれる先輩のイェシン(コ・アソン)に助けれ、ジニは次第に周囲の女の子たちに目を向けるようになる。

冬の小鳥
(C)2009 Copyright DCG Plus & NOW Films, GLORIA Films. All Rights Reserved.

いろいろの境遇の子たちがいて、その施設から、新しい人生に向かっていく子たちがいることを知るようになる。

施設長は、子どもたちを里子に出していた。子どもたちの幸せのためでもあるし、施設の運営のためでもあった。里子にする子どもを探すために、世界中から来訪者があった。施設の夢のない生活から抜け出て、すばらしい未来を求めてよい夫婦に引き取ってもらうため、スッキは片言の英語を話してアピールしていた。

周囲の女の子たちの姿をみながら、次第にジニは、自分の環境を受け入れていく。かわいがっていた小鳥の死をとおして、ジニは、再び生きる道を選んでいく。

冬の小鳥
(C) 2009 Copyright DCG Plus & NOW Films, GLORIA Films. All Rights Reserved.


 

「父よ、なぜ、私をお見捨てになったのですか・・・」ミサの中で朗読されたイエスの言葉に、ジニは自分の姿を重ねていたことでしょう。この作品には、キリスト教のメッセージが込められています。

大人の身勝手で、小さな子どもの魂をここまで悲しませていいのか、と切なくなりますが、周囲の子どもたちの姿を見ながら、小鳥の死をとおして、ジニは死と復活を体験していきます。ジニ役のキム・セロンちゃんの演技が、自然かつ現実的で、どんどん物語に引き込まれてしまいます。


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