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ワレサ 連帯の男

2014年 4月

WALESA. MAN OF HOPE

ワレサ 連帯の男

  • 監督:アンジェイ・ワイダ
  • 脚本:ヤヌシュ・グウォヴァツキ
  • 音楽:パヴェウ・ムィキェティン
  • 出演:ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ、
        アグニェシュカ・グロホフスカ、
        マリア・ロザリア・オマジオ
  • 配給:アルバトロス・フィルム

2013年 ポーランド映画 2時間7分

  • 2013年ヴェネチア国際映画祭パシネッティ賞受賞
  • 2013年シカゴ国際映画祭最優秀男優賞受賞
  • 2013年トロント国際映画祭正式出品作品

今年88歳を迎えたポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダ監督の最新作です。ポーランドの労働者たちの、苦しい時代を描いた作品には「大理石の男」(76)、「鉄の男」(81)がありますが、「ワレサ 連帯の男」は、同じ造船所の労働者たちをテーマにした3作目となります。


物語


1980年代はじめ、自主管理労働組合「連帯」の初代委員長となり、世界的に有名になったワレサ(ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ)のもとに、イタリアの女性ジャーナリストのオリアナ・ファラチ(マリア・ロザリア・オマジオ)がインタビューにやってきた。ワレサは、グダンスクのレーニン造船所の電気工だった。彼は、1970年12月に起きた食料暴動を思い出し語り始める

労働者たちは、貧しい暮らしを強いられていたが、世の中は物価が高騰し、人々の生活はますます窮地に追いやられていた。労働者たちは抗議集会を行った。軍警察が鎮圧のために発砲し、41人が亡くなり、1,000人以上の負傷者を出すという大惨事となった。

ワレサ 連帯の男
(C) 2013 AKSON STUDIO SP. Z O.O., CANAL+CYFROWY SP. Z O.O.,
NARODOWE CENTRUM KULTURY, TELEKOMUNIKACJA POLSKA S.A.,
TELEWIZJA POLSKA S.A. ALL RIGHTS RESERVED


ワレサは、妻ダヌタ(アグニェシュカ・グロホフスカ)と子どもたちとともにアパートに住んでいた。貧しい暮らしの中でもダヌタは上手にやりくりし、生まれてくる子どものために出産の準備をしていた。「かかわらないで」というダヌタの願いも空しく、ワレサの冷静さと雄弁、リーダーシップはだれにも明かで、ワレサは次第に労働者のリーダーになっていった。公安から目を付けられており、乳母車の中に隠していた非合法はチラシが見つかり、一緒にいた生後まもない娘とともに逮捕されるということもあった。夫の留守中に家宅捜査を受けたアパートでは、ダヌタがしっかりと公安に立ち向かっていた。

ワレサ 連帯の男
(C) 2013 AKSON STUDIO SP. Z O.O., CANAL+CYFROWY SP. Z O.O.,
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ワレサは、1980年にレーニン造船所のストライキ指導者のトップになり、「連帯」の委員長として自由と権利を求めて戦う象徴となっていた。アパートには、仲間が集まり、チラシを作ったり話し合いをしたりして、家庭が活動事務所になってしまった。ダヌタは耐えきれなくなり、爆発することもあった。1981年、ワレサは連行されて1年間軟禁状態となり、家族とも活動の仲間とも連絡できない状態となった。

1982年に解放されると、人々の熱烈な歓迎が待っていた。ワレサは再び活動に身を投じていった。1993年にノーベル平和賞を受賞したが、ワレサは出国できない状態だったので、ダヌタが授賞式に出席しスピーチを行った。

ワレサ 連帯の男
(C) 2013 AKSON STUDIO SP. Z O.O., CANAL+CYFROWY SP. Z O.O.,
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1989年、政権側と「連帯」、カトリック教会が並んだ円卓会議で、「連帯」は勝利をおさめた。この勢いが、ベルリンの壁崩壊へとつながっていった。

 

「連帯」と「ワレサ」という言葉は、日本でも有名になりました。ワレサたち労働者の心の拠り所となっていたのは、同じ時代にポーランド出身の、時の教皇となったヨハネ・パウロ2世でした。

過酷な労働条件の中で働く貧しい労働者たちが集まり、自由と権利を求めて人間の尊厳を取り戻すために戦う姿は、ミャンマーの民主化を求めて戦う人々の姿と重なり、また、ワレサはアウンサンスーチーさんと重なります。当時の映像を交えながら、時の渦に巻き込まれていったワレサの家族、労働者の戦いは、人間が人間として生きることを求めるために、いつの時代も、どの地域でも、勝ち取っていくために希望を失ってはいけないということを教えてくれます。


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