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二つ目の窓

2014年 8月

二つ目の窓

  • 監督 ・脚本・プロデューサー:河瀬直美
  • 音楽:ハシケン
  • 出演:村上虹郎、吉永淳、杉本哲太、松田美由紀、
        渡辺真起子、常田富士男
  • 配給:アスミック・エース

2014年 日本、フランス、スペイン映画 120分

  • カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品

「萌の朱雀」(97)で、カンヌ国際映画祭カメラドールを史上最年少で受賞し、「殯の森」(07)でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞し、2013年には日本人としてはじめてカンヌ国際映画祭の審査員をつとめ、製作した作品が常に話題となる河瀬直美監督の作品です。奈良市に生まれ、今も奈良市に住んで、地域に生きる人々をドキュメンタリータッチで描いていく河瀬監督がこの作品に選んだのは、豊かな自然に囲まれ、ユタが働く奄美大島です。


物語


高校生の界人(かいと・村上虹郎)は母・岬(渡辺真起子)と二人、奄美大島で暮らしていた。幼いころ別れた父・篤(村上淳)は東京に住んでいる。

ある満月の夜、海に行った界人は、背中に入れ墨のある男が海に浮かんでいるの見た。翌朝、海辺では、溺死体を取り調べる警察を、多くの人が遠巻きにしていた。界人の同級生・杏子(吉永淳)も人々の間にいた。前夜、海辺から走り去る界人の姿を見た杏子は、通り過ぎようとする界人に声をかけるが、彼は何も言わずその場から去った。

二つ目の窓
(C)2014“FUTATSUME NO MADO”JFP, CDC, ARTE FC, LM.


杏子の母・イサ(松田美由紀)は、島のユタ神さまとして人々の信頼を集めていたが、病に冒され最後の時を家で過ごしたいと、衰えた体力で病院から家に戻ってきた。神との交わりの世界を持つ母を、父・徹はだまって見守っていた。しかし杏子は、母の死を受け入れることができないでいた。杏子は海の中を深く泳いだ。

二つ目の窓
(C)2014“FUTATSUME NO MADO”JFP, CDC, ARTE FC, LM.


働きに出ている母に男性の存在を感じていた界人は、母親に嫌悪感を抱くようになり、今までのように接することができなくなっていた。

長老の亀治郎(常田富士男)は、二人のことを気にかけてくれた。界人と杏子は風の中に自転車を走らせた。

 

台詞ではないような自然な会話、演技でないような自由な動き。神秘的なガジュマルの木と珊瑚礁の深い海の中に生きる二人は、母親との関係に悩みにながら、大人へと成長していきます。神の存在をも感じさせる大きな世界観と、ゆったりと流れる時間の中で、いのちのつながりについてじっくりと考えていきます。

歌手UAを母に持つ村上虹郎君の、寡黙な姿と深い眼が印象的です。実際の父である俳優の村上淳と、父子を演じています。


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