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みんなの学校

2015年 3月

みんなの学校

  • 監督:真鍋俊永
  • ナレーション:豊田康雄
  • 題字:谷篤史
  • 出演:大空小学校のみんな
  • 配給:東風

2014年 日本映画 1時間46分

  • 平成25年文化庁芸術祭賞テレビ・ドキュメンタリー部門大賞
  • 2013年日本民間放送連盟報道番組部門優秀賞
  • 第9回日本放送文化大賞準グランプリ
  • 第21回坂田記念ジャーナリズム賞
  • 第51回ギャラクシー賞テレビ部門選奨
  • 第67回日本映画テレビ技術協会映像技術賞
  • 第23回地方の時代映像祭放送曲部門優秀賞


小学校、中学校、高校などで、なんらかの理由から、授業を受けるために助けが必要である子どもは、「特別支援学級」という普通のクラスとは別のクラスに入って、教育を受けるようになっている。ここ大阪市住吉区にある公立の大空小学校に、特別支援クラスは設けられていない。発達障害といわれる子も、自分の気持ちを上手にコントロールできない子も、みんなと同じクラスで学ぶ。

大空小学校は、児童数が多くなり、206年に開校した新しい学校だ。木村泰子校長は子どもたちに、先生たちに、そして地域の人々に、こういい続けている。「大空小学校は自分たちの学校だから、自分たちで作る学校です」。始業式でいう。「大空小学校は、だれが作りますか?」いつもいい続けている。子どもたちだけではない、新米の先生がはじめて担任になった。まだ自信がないが、先輩の先生たちが支えて、育てる。

 みんなの学校
(C) 関西テレビ放送


他の小学校に比べて、特別支援となる子どもの割合が多い。この7年の間に、他の地域から引っ越してくる子が増えた。目指しているのは「不登校ゼロ」。すべての子どもに、居場所があるよう、願っている。

4年生のクラスに、他の地域から転校してきたセイシロウ。前の学校では、学校にいる時間は2時間が限界だった。落ち着きがなく、目を離すと、「大空を引退します」といって、学校から抜けだそうとする。

 みんなの学校
(C) 関西テレビ放送


自分の思いをうまく伝えることができず、暴力的になるマサキ。ある日、同じクラスの子を殴ってしまった。反省していると思いきや、原因は相手の男の子にあるという。木村校長は、本人が自分から納得するように、語りかける。殴ったことを謝ることと、絶対に手を出したらいけないということを約束させた。マサキは教室に戻り謝ったが、反対に男の子がなぐりかかってきた。先生とクラスのみんなが止めに入ったが、おさまらない。しかしマサキは偉かった。約束を守って、殴り返すことなくじっとがまんしていたのだ。

 みんなの学校
(C) 関西テレビ放送


いろいろな不都合を抱えている子どもたちを、木村校長をはじめ、先生たちが全員で受け止めている。さらに、クラスの子どもたちが受け止めている。木村校長のいう「自分たちで作る学校だ」という思いが、子どもたちに伝わって、支援を必要としている子どもに、他の子どもが寄り添うようになった。その子のペースで動けるようになるまで待つようになった。話を聞くようになった。また、保護者たちも、彼らを見守るようになった。「こんな子、いなければいいのに。支援学級に入るか、他の学校に行ったらいいのに」というような、排斥する考えは、大空小学校の子どもたちや保護者、地域の人々にはない。

 みんなの学校
(C) 関西テレビ放送


人間の優しさが引き出されるような、学校だ。ここまでくるには、木村校長の確固とした信念が、人々を育てたからだと思う。彼女のエネルギーはどこからくるのだろうか?

が現実になった学校、みなでやればできるんだと思える学校だ。子どもたちの悲惨な事件が続く現代社会の中で、大空小学校は、大きな金字塔となって、希望を与えるために、この映画を多くの人に見てもらいたいと思う。


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