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広河隆一 人間の戦場

2015年12月

 広河隆一 人間の戦場

  • 監督:長谷川三郎
  • 音楽:青柳拓次
  • 出演:広河隆一
  • 協力:DAYS JAPAN
  • 配給:東風

2015年 日本映画 1時間38分


2004年、フォトジャーナリストの広河隆一氏は編集長として、報道写真誌「DAYS JAPAN」を再刊しました。世界の報道写真家の写真と文章によって、世界の現実をわたしたちに知らせ、考えるべき問題を提示し続けています。2014年、編集長を退任しましたが、72歳になった現在も、活発な取材活動をおこなっています。本作品は、「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」を監督した長谷川三郎氏によるもので、広河隆一氏のジャーナリストとして活動と、そこからはじまるさまざまな救援活動を追ったものです。そこには、人権を奪われている人々に共感し、行動してしまうジャーナリストの真摯な姿が見えてきます。

 広河隆一
(C) 2015 aureo


ヨルダン川西岸にあるパレスチナ自治区で、自分たちの土地を守るとするパレスチナ人がデモをおこなっていると、イスラエル警察が催涙弾を撃ってきました。広河氏は、彼らの近くに立ち、この様子をカメラに撮ります。「人間には、幸せに生きる権利がある、健康に生きる権利がある。その権利を守る。」大学2年のときに本格的なカメラを手にしたときから、広河氏の中で貫かれてきた思いです。

イスラエル、レバノン・ベイルートの難民キャンプ、チェルノブイリなどの取材の他に、広河氏は彼らを支援する活動もおこなっています。「チェルノブイリ子ども基金」「パレスチナの子どもの里親運動」を立ち上げ、沖縄の久米島には、福島原発事故で影響を受けた子どもたちの健康回復のために保養センター「球美(くみ)の里」を設立しました。

 広河隆一
(C) 2015 aureo


ジャーナリストの活動を超えているのではないかという問いに対し、広河氏はこう答えます。 「たしかに超えていると思う。でも、越えなくてはいけないと思うのです」「ジャーナリストである前に、自分は人間である。目の前に助けを求める人がいたら、カメラを置いてでも助けるのは、当たり前の話だ」。ジャーナリストとして世界の出来事をわたしたちに知らせてくれるだけでも、危険ですばらしい活動ですが、さらに、人道支援のこれらの活動を、気負うことなく、当たり前のこととして淡々とおこなっている広河氏の働きを知り、驚き、感動し、教えられえました。

広河氏の活動をとおして知る世界を、ぜひご覧ください。


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