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Workers 被災地に起(た)

2018年10月

 Workers 被災地に起つ

  • 監督:森康行
  • ナレーター:山根基世
  • 音楽:平野晶子
  • 配給:一般社団法人 日本社会連帯機構
  • 配給協力:ウッキー・プロダクション

2018年 日本映画 89分


東日本大震災の被災地で、被災者のために活躍した地域密着型のグループがあります。「ワーカーズコープ」日本労働者協同組合です。岩手県大槌町で、地域の人たちの復興を自分たちの手でという意向ではじまったワーカーズコープの施設「ねまれや」。ここで働いているのは、仕事を失った現地の人たちです。ドキュメンタリー映画「workers 被災地に起つ」は、被災地での「ワーカーズコープ」の2016年から2017年の活動に密着した記録です。


そもそも「ワーカーズコープ」は、戦後、戦争未亡人や敗戦で職を失った人たちの参加から始また協同組合で、人と地域に役立つ仕事をおこし、ボランティアではなく報酬が出るような活動にしています。

大槌町の地域共生ホーム「ねまれや」は、年齢を問わず地域の人々の拠り所になっています。小学校が流されて他の地域の小学校へバスで通う子どもたちが帰ってきた後の時間の居場所の開設。若い人たちが出て行って家族がバラバラになった高齢の女性たちがあつまり、今も残る震災の傷を語ることで癒やされていく交わりの場「お茶っこ」。人が集まれば、いろいろな問題も見つかり、それに合わせて活動も広がっていきます。「人口は減っても、困っている人は減っていない」と言う東海林奈美所長を中心に、地域の人によって運営されています。

 Workers 被災地に起つ
(C) 日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団


産直の野菜を販売し、循環型農業をめざして地域の人が働く亘理町の「ともにはま道」。生活に困っている人、頼る人がいない人、相談できる人がいない人の相談にのっている「ともまち登米(とめ)」。土地の90%が山林という米川・馬淵地区での、山林での地場産業おこし「炭焼き小屋」と、毎年一家族の移住を歓迎する限界集落からの脱皮。

 

被災地と言っても、その地域地域で問題はさまざまです。その必要を見極め、そこでの活動のはじまりを促すリーダー的存在の姿はクローズアップされません。この映画の中でよく出てくるのが、活動している地域の人々の話し合いの風景です。みな同じレベルで、思っていることを出し合い、考え、話し合って道を見つけていきます。一人ひとりができることを提供し合い、違和感を覚えた人は黙っているのではなく、その人が納得できるまで待ちます。こうしてみんなが同じ線上に立ち活動し、また話し合い、そうして次のステップに進みます。

 Workers 被災地に起つ
(C) 日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会センター事業団


それぞれが持っている力を精一杯出しあって働き共にいることが、一人ひとりの生きていく力となっていくことが、この映画から見えました。元気が出る新しい働き方を学んだ感じです。これからどう生きるかが問われています。


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