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こどもしょくどう

2019年3月

 こどもしょくどう

  • 監督:日向寺太郎
  • 脚本:足立紳、山口智之
  • 出演:藤本哉汰、鈴木梨央、浅川蓮、常盤貴子、吉岡秀隆
  • 配給:パル企画

2018年 日本映画 93分


貧しさゆえに、朝食や晩ご飯を食べることができない子どもたちのために、自治体や地域の人々がはじめた「子ども食堂」は、2012年ごろからはじまり、全国に広まっていきました。食事を提供する回数や日時、料金はさまざまですが、食材の無料提供やボランティアによるスタッフなど、人々の善意によって支えられています。

日向寺太郎監督による「こどもしょくどう」は、大人たちが集まってはじめた食堂とはひと味違った子ども食堂のはじまりを描いています。小学校5年生の男の子の思いが、両親を動かしていきます。いじめが問題視されている一方で、自分と違う状況にある子どもを気にする優しい心を描いた本作は、大人には分からない子どもの感性を表現しています。人間のすばらしさを感じさせる作品です。


物語

野球で、大きな声を出している小学5年生の高野ユウト(藤本哉汰)は、なかなかレギュラーになれずベンチ組だ。それでも、大きな声を張り上げてベンチから応援している。しかし、ユウトのとなりにいる身体の大きな幼なじみのタカシ(浅川蓮)は、一言もはっせずにボーッと立っていた。「タカシ、声を出せよ。出さなければ、辞めさせられるぞ。野球がイヤなら来なくていいんだ!」。ユウトからキツいことを言われても、タカシはいつも黙ってユウトの後をくっついていた。

ユウトの父(吉岡秀隆)と母(常盤貴子)は、小さな食堂を営んでいる。ユウトは家に帰ると茶の間にあがり、食堂から母が運んでくれる夕食を、妹のミサ(田中千空)と一緒に食べ始めた。タカシもユウトの横で、一緒に食事をしていた。タカシの家はシングルマザーで、母親は育児放棄状態、家に男性を連れてくるとタカシは外に出なくてはいけなかった。そんなタカシを心配したユウトの両親は、夕食を提供していた。「タカシ君のめんどうを見てあげるのよ」と、ユウトは母から口うるさく言われていた。

 こどもしょくどう
(C)2018「こどもしょくどう」製作委員会


いつものように、野球が終わってタカシとともに家に向かっていたユウトは、河原に放置された車のそばにいる幼い姉妹・ミチル(鈴木梨央)とヒカル(古川凛)を見つける。二人の母親は家を行方不明で、父親の車の中で生活していた。学校の帰りに、河原で見かける二人が気になるユウトは、ひもじい思いをしていることを知り、二人を自分の家に連れていく。ユウトの両親は、けげんな顔をしながらも姉妹に食事を提供する。ヒカルはミサと仲良くなり、久しぶりのきちんとした食事に喜ぶが、ミチルはどこか打ち解けていない様子だった。

 こどもしょくどう
(C)2018「こどもしょくどう」製作委員会


 こどもしょくどう
(C)2018「こどもしょくどう」製作委員会

そんなある日、数人の中学生たちのいたずらで車が壊され、ミチルとヒカルの父親が帰って来なくなる。

 

親に見捨てられた子どもたちの状態が、見ていて苦しいです。妹のめんどうを見ているミチルも、妹の前ではしっかりしていますが、実は不安で不安でたまらなくどうしていいか分からないと、母を求めた切ない思いを爆発させるミチル役の鈴木梨央さんの姿は、涙を誘います。このような子どもたちのために、大人のわたしたちは何ができるでしょうか。


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