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島守の塔

2022年8月

 PLAN 75

  • 監督・脚本:五十嵐匠
  • 脚本:柏田道夫
  • 原案:田村洋三
  • 音楽:星勝
  • 出演:萩原聖人、村上淳、吉岡里帆、池間夏海、榎木孝明、香川京子
  • 製作:「島守の塔」製作委員会
  • 配給:毎日新聞社、ポニーキャニオンエンタープライズ

2022年 日本映画 2時間11分


日本の第2次世界大戦では、戦地に赴いた兵士ばかりでなく、国土でも空襲や原爆投下で多くの人々が苦しい思いをしましたが、海を隔てた沖縄の人々も、「本土を守る」ために犠牲を強いられました。米軍の上陸を受けた沖縄本島南端の摩文仁の丘には、世界の恒久平和を願って平和祈念公園ができ、海に向かう断崖の上には、沖縄戦で亡くなった24万人余りの人々の名前が刻まれた「平和の礎」が並んでいます。その右手、小高くなった丘には、各都道府県や団体の慰霊碑が建てられていますが、その道の入口にあたるところに「島守の塔」があります。激戦地となる沖縄に知事として派遣された島田叡知事と、島田知事と一緒に住民を守った荒井退造沖縄県警察部長の終焉の地に建てられました。映画「島守の塔」は、この2人をとおして、激しくなっていく沖縄戦、また米軍上陸の恐怖の中で翻弄される沖縄の人々を描いた作品です。


物語

昭和19年、南の島では日本軍が次々と玉砕され、日本軍は、本土を守るため、沖縄決が前線基地とされた。沖縄守備軍・第32軍が設置され、軍によって家屋や農地、食料が没収されていきました。前戦基地として準備されていく中、戦力とならない老人や婦女子の本土と台湾への疎開が計画されましたが、すてに沖縄周辺の海に、敵艦が出没していることから、疎開はなかなか進みませんでした。そんな中、突然、那覇市は米軍の空襲を受けました。県庁で働く比嘉凛(吉岡里帆)は、おばあの祝いのために魚売りの女性から魚を買おうとして庭に出ようとしていました。そのとき、突然背爆音が響きました。さっきまで笑い声が聞こえていた魚売りの女性やおばあ、近所の女性たちがに呆然とします。「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」と唱え続け「きっと神風が吹く」と信じていた吉岡でした。この大規模な攻撃で、疎開希望者が一気に増えました。しかし、その疎開船も、多くが米軍の攻撃を受けました。

戦況がいよいよ厳しくなる中、日本軍は、首里城の地下に、人口のガマを作り、軍の本部をここに隠すことが提案されました。県民は全員兵士にってゲリラ戦を展開する、この地上戦を進めるために、死を覚悟した新しい知事が必要とされ、「だれかが行かなくてはならない。死にたくないからと、他の人に行ってくれとは言えない」と反対する妻に言って、島田叡(萩原聖人)が栃木県からやってきました。沖縄県警察部長の荒井退造(村上淳)と、知事付となった凛が迎えました。今までの知事とは違い、島田は沖縄の人々の中に入っていこうとしました。

 島守の塔
(C) 2022 映画「島守の塔」製作委員会


警察官の指導で、人々は疎開を始めます。北部を目指して移動し始めましたが、沖縄全体に食料が無くなっていきました。

3月24日 米軍攻撃開始。師範学校、高等女学校など学生も動員され、沖縄は国体護持の決戦場とされました。比嘉の妹の由紀(池間夏海)も、動員され、野戦病院となったガマで、傷ついた兵士たちの世話をしていました。そして、4月1日、米軍、沖縄本島に上陸開始。そのような状況になっても凛は、「神国ニッポンは、必ず勝つ。神風が吹いて、きっと好転する」と信じていました。

 

国民を守るための兵士たちが、その任務を放棄し、人々は銃弾の中に放り出されました。満州からの引き上げと同じです。医療壕の中では、教員であった兵士と世話をする女学生たちの、先生と生徒の会話がなされます。「戦争が終わったら、学校に行けますか」。極限の中でも、人間性を失わずに、自分も生き、隣の人も一緒に生きるようにすることができるか。大きな問いです。


  • 7月22日より、シネスイッチ銀座にて、好評上映中!
    8月5日(金)より、沖縄、兵庫、栃木にて全国順次公開。その後、順次全国公開。

  • 「島守の塔」公式サイト
    https://shimamori.com/

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